コロナでも米中バトル 米の疾病対策センターの発表に中国キレた

2020年03月14日 16時00分

 世界中で感染拡大を続ける新型コロナウイルスについて、中国の研究チームが「2種類あることを突き止めた」との論文を発表し、日本でも「国内で広まっているのはどっちの型なの?」と話題になっている。一方、これに対し、米紙ロサンゼルス・タイムズは、英国などの学者が「論文は間違いだ」と撤回を求めていると報じた。さらには米疾病対策センター(CDC)と中国外交部のバトルも勃発している。

 研究結果を発表したのは、北京大学生命科学学院と中国科学院・上海パスツール研究所の専門家のチームだ。

 それによると、新型コロナウイルスの一つは「Lタイプ」と名付けられたもので、感染の“震源地”となった中国・湖北省武漢で瞬く間に広まり、ヒトへの感染力や攻撃力が強い。もう一方は、やや弱い「Sタイプ」で、現在世界で広まっているのはこのタイプだとしている。ただし、調査結果はまだ限定的なデータに基づいたもので、ウイルスの変異や進化をより詳しく調べるためには「さらなる研究が必要だ」と強調している。

 同チームによると、Lタイプは昨年12月に武漢で最初の感染が報告され、同市を中心に拡散したウイルスで、これまでの感染者の約70%を占めているという。だが、1月初旬に中国当局による総合的で素早い感染対策が功を成したためか、Lタイプが減少した。一方、残りの30%のSタイプの方は、現在世界中に感染拡大しているもので、Lタイプと比較するとその攻撃力が弱いとされる。また、コウモリから検出された“旧型”のコロナウイルスで“Lタイプの原型”だと分析した。

 とはいえ、不思議なのは、昨年12月から今年1月に武漢で爆発的に感染が広まった際、旧型ウイルスであるはずのSタイプがほどんど検出されずに、Lタイプばかりだったのはなぜか、だ。

 同チームは「コウモリが持つコロナウイルスが急速に進化し、より変異したため感染力が増したか、攻撃力が強まったために同型が蔓延したのではないか」と推論した。

 これについて、米紙ロサンゼルス・タイムズは、スコットランドにあるエディンバラ大学の遺伝学者、アンドリュー・ランバウト教授のツイートを紹介した。

 同教授によると「問題の論文はデータの基になるサンプルが少なく、結果ありきで“取って付けたようなもの”だ」と指摘している。新型ウイルスが違った変異をしたとの主張には「推論が間違っている」とした。

 同じくスコットランドのグラスゴー大学ウイルス研究所も同教授を支持。「論文は事実に基づいておらず、感染が拡大しているこの大事な時期に、間違った情報を発信することは危険だ」とし、撤回を求めている。

 米中関係にも不穏な空気が流れ始めている。

 米国の陰謀論者の間では「米国でインフルエンザで多数の死者が出ているが、実は中国が作った人工ウイルスの新型コロナなんじゃないか」との説が根強い。

 米国では昨年からこれまでインフルエンザが猛威を振るい、1万4000人以上の死者を出している。それがインフルエンザではなく、新型コロナだったとしたら…。

 CDCのロバート・レッドフィールド局長は11日、下院監視委員会で「インフルエンザで死亡したと思われた米国人の一部は、死後の診断で新型コロナウイルスが原因だった」と語った。人工ウイルスとまでは言及していないが、米国で多数の死者を出しているインフルエンザは、中国・武漢発の新型コロナかもしれないと言いたいわけだ。

 これに対し、中国がキレた。中国外交部報道局副局長のチャオ・リジアン氏は12日、ツイッターに英語で「米国の感染者第1号はいつのことでしたか? 何人が感染していますか? どこの病院で調べたんですか? 武漢に新型コロナウイルスの流行をもたらしたのは米国軍かもしれないでしょ。データを公開しましょう! 米国には説明の義務があります」と発信した。

 米中の緊張はさらに高まりそうだ。