コロナ感染源扱いされカンボジアで肩身狭い日本人 地元民は同情

2020年03月12日 16時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】カンボジアの新型コロナウイルス感染者は3人。1人目は中国人男性(すでに退院し帰国)、最近判明した3人目はディナークルーズに参加した英国人女性(65=隔離中)で、自国民の感染者は2人目の男性だけだ。

 世界遺産アンコールワットがあるシエムレアプの男性(38)で、感染源は三重県在住の40代日本人男性とみられる。その男性は先月16日に日本を出国し、仕事でフィリピンやカンボジアに滞在。現地で体調を崩し、ベトナム経由で帰国し、中部国際空港の検疫所で感染が確認された。

 シエムレアプ州では8日から学校が全て休校となり、その日本人男性と濃厚接触した疑いがある人々は隔離。州の政府関係者が集まり、消毒を進めること、デマや買い占め対策などが話し合われた。

「インドネシアも国内初感染者は日本人から。『また日本人か』と受け止めるカンボジア人が出てくるかも」とは首都プノンペン在住の商社マン。幸い今のところ、現地で日本人を差別するような動きはない。というのも多くの地元民は「そもそもコロナを持ち込んだのは中国人ではないのか」と疑っているからだ。

 中国への依存度が高いカンボジアでは、他国が中国人の入国を制限する中、いまだフリーパス。公にされないだけで、すでに中国人からの感染が広がっているという疑惑が根強い。プノンペンでは現地在住の中国人男性3人が症状を訴えるも、保健当局が簡単な検査のみで「コロナ患者ではない」と発表したのも不審を招いている。

「政府は『中国人から感染拡大した』とは言えない。そこで日本人をスケープゴートにしたと、うがった見方をする人も多い」(商社マン)

 世界的にイベントが中止になる中、カンボジアでは14日から中国との大型軍事演習が予定されている。「この時期に多くの人が集まり、濃厚接触する軍事演習をやる必要があるのか」と周辺国は不安を募らせる。

 そんななか、タレント大桃美代子(54)は、仕事で訪れたシエムレアプで現地ガイドに国籍を聞かれ、ためらいながらも「ジャパン」と答えたところ「日本大好き」と日本語で返されたと9日のブログに書いた。

「日本人が肩身の狭い思いをしているのを、カンボジア人は知っている。だからこその気遣いだろう」と商社マンは指摘。「ただ、入国制限で他のアジア諸国へ行けなくなった日本人が増えているというし、インドや中国、韓国への卒業旅行を予定していた大学生が行き先をカンボジアに変える動きがあるとも聞く。“あまりハメを外さないようにして”というのがこちらにいる日本人の率直な気持ち」だという。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。