新型コロナはお葬式にも深刻影響 葬儀社が提案する「後葬」とは

2020年03月12日 08時00分

 新型コロナウイルスによる影響が各所に及ぶなか、葬儀業界にも深刻な問題が起きている。葬儀を行いたいものの、多くの人が参列する一般葬は自粛に追い込まれるケースが出ているのだ。

 昨年11月に死去した中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬儀、先月死去した元プロ野球監督の野村克也さんの告別式はそれぞれ15、16日に行われる予定だったが、コロナ禍で延期となった。

 1000人以上を超える参列者が予想され、政府が自粛を要請する大規模イベントに相当するため、やむを得ないところだが、一般の葬儀さえ似たような状況になっているという。

 ネットを介した葬儀・供養サービスを提供している「よりそう」の担当者は「新型コロナウイルスの感染が気になる、参列者さんにうつしてはいけない、との家族様からの要望で、当初は100人くらい呼ぼうとしたのを家族葬で行ったという声を複数聞いています」と話す。

 葬儀中も参列者全員へのマスク着用や着座はなしで焼香のみだったり、精進落としの席ではビュッフェ形式を取りやめたりと、神経質にならざるを得ないウイルス対策が取られている。

 さらに葬儀で使用するひつぎの9割は中国で製造されており、コロナ禍で中国での生産、輸出が滞っており、今後価格の高騰が懸念されるなど、深刻な事態に見舞われているのだ。

 そんな状況を受け、前出の「よりそう」が10日から始めたのは「後葬(あとそう)」なる葬儀形式だ。家族葬や直葬(火葬のみ)でこぢんまりと密葬し、新型コロナが終息した後に改めて葬儀を執り行うというもの。

「お別れ会」に近い形態だが、通夜や告別式を含めた一般葬から一日葬(通夜なし)など本葬と同じ内容を選べるため、葬儀を2段階で行うともいえる。その分、費用はかさむが「よりそう」では後葬を行う場合、一部を負担するという。

 新型コロナは人を死に追いやるだけでなく、死後の葬儀にも影響を与えているとは…。一刻も早い終息を祈るばかりだ。