コロナ禍“悪質転売ヤー”に罪は?マスク、トイレットペーパー…ネットのデマ→買い占めで品切れに

2020年02月29日 16時00分

 不安な気持ちに付け込んだ転売を取り締まることはできないのか!? 世界保健機関(WHO)は28日、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)の地域別の危険性評価で、世界全体を「高い」から「非常に高い」へと引き上げた。世界的流行を認定した形。国内では28日、新型コロナウイルスの感染が新たに19人確認され、感染者数は938人となり、死者は3人増え11人になった。日本列島を席巻する状況で「トイレットペーパーがなくなる」とデマが飛び、人々が買い占めに殺到し、品切れ続出。フリマアプリで転売されているのも確認された。

 デマのきっかけは、ツイッターだと言われている。27日にあるユーザーがつぶやいたのは、新型コロナで品薄になる商品を予想する内容で、トイレットペーパーとティッシュペーパーを挙げ「製造元が中国」と理由を指摘していた。すると28日になって、日本各地のスーパーなどで、トイレットペーパー目当てに人が殺到。あっという間に品切れになった。

 新型コロナをめぐって買い占めが起きているのは、トイレットペーパーとティッシュペーパーだけではない。マスクは日本政府がメーカーに増産を呼び掛けていたが、いまだに手に入りづらい状況が続いている。また、生理用品やオムツ、消毒液、キッチンペーパーなども買い占めの対象になっており品薄状態だ。

 さらに、出歩かなくなることを想定してなのか米やインスタントラーメンなど備蓄できる食料も少なくなっている。

 トイレットペーパーは本当になくなってしまうのか。

 紙製品メーカーの業界団体である日本家庭紙工業会によると、国内で流通するトイレットペーパーは、ほぼすべて国内で生産しているといい、製造元が中国というのはデマだという。担当者は「過度なまとめ買いがなければ、供給にまったく問題はない。落ち着いて行動してほしい」と呼びかけている。

 在庫に余裕があるにもかかわらず、フリマアプリではトイレットペーパーの出品が相次いでいる。28日中に出品されたものがほとんどで、店売りの価格より高い値段を設定していた。すでに売れたものも多くあるから驚きだ。

 不安に駆られて買い占めに走ることは百歩譲って理解できたとしても、転売して儲けを得ようとは不届き千万。こうした転売をする人たちをネットスラングで“転売ヤー(転売とバイヤーを組み合わせた造語)”というが、彼らが取り締まられたという話は聞かない。そもそも摘発はできないのか。

 元衆院議員で弁護士の横粂勝仁氏は「生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律」で対処する可能性を挙げた。同法は1973年の第1次オイルショックを受けてできた「国民生活安定緊急措置法」とともに“生活二法”と呼ばれている。簡単に説明すると、生活必需品の価格安定を目的とした法律だ。

「まずは特定物資に指定される必要がありますが、トイレットペーパーとティッシュペーパーはすでに指定されています。もし買い占めや売り惜しみがあった場合、内閣総理大臣及び主務大臣は業者に売り渡しの指示ができます。さらに命令もでき、従わない場合は3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処すことができます」(横粂氏)

 となると“転売ヤー”を摘発できそうと思うが、そう簡単ではない。

「今回の件でも明らかに業者が買い占めしていると分かれば指示できますが、相当な規模の転売業者ならともかく、個人だと厳しい。今回の騒動に乗っかってやっている人だと、さらに微妙になります」と横粂氏。利益を申告しないことによる所得税法違反も仕事として転売ヤーをやっていないと適用が困難だという。

 転売ヤーの規制は今後の課題だ。

「まずはマスクなども特定物資に指定するべきでしょう。チケットのダフ屋行為は社会問題化したことで法規制されています。マスクなど命にかかわる生活必需品に関しても、たとえ個人で転売をしていようが取り締まれるように『生活関連物資等――』の法律の中で規制できるように議論するべきです」(横粂氏)

 現状はフリマアプリ側の自主規制と、買う側が転売ヤーから買わないことが対策になる。今後も買い占め騒動は起きるので、早急に法整備が必要だ。