コロナ休校で大パニック 共働きの家庭や学校関係者が悲鳴

2020年02月28日 16時00分

臨時休校の要請に子供を持つ親からは悲鳴(ロイター)

 安倍晋三首相(65)が全国の小中学校や高校などに、一斉に臨時休校を要請したことに、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から評価の声が出る一方で、共働きの家庭や学校関係者からは悲鳴や戸惑いの声が上がった。突然の休校要請に子供を持つ看護師が出勤できなくなることで、一部の病院が外来の休診を決断するなど、社会インフラにも影響が及んでいるが、その裏側で静かに仕事のあり方が変わろうとしている。

 安倍首相は27日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部会合で、子供たちへの感染の拡大を防ぐため、3月2日から全国の小中高校や特別支援学校を臨時休校にするよう要請する考えを表明。入試や卒業式を実施する場合は、感染防止の措置を講じ、必要最小限の人数に限って行うなど万全の対応を取るよう求めた。一方、厚生労働省は、保育所は共働き世帯が多く利用しているため、要請の対象ではないとした。

 政府はこれまで、子供は感染しても重症化のリスクが低いとして「国民は冷静な対応を」と言ってきただけに、突然の首相の要請を受け、子供を持つ親からは悲鳴が上がった。

 就学児を持つ親は「ウイルスが大変なのは理解できるけど、夏休みみたいに外に遊びに行かせるわけにもいかない。家にいるとゲームばかりして勉強もしない。どうしたらいいのか…」「うちの子供は高校3年と中学3年。高校は明日(28日)が卒業式。最初は保護者なしって話もあったけど、先生が掛け合ってくれて、時間短縮でできることになった。中学(の卒業式)は来月だからどうなるか分からない。楽しみにしていたから、かわいそう」などと困惑している。

 また、中学生の親は「“外出禁止令”を出してくれないと。今から、イオンモール行くとか、ららぽーと行くとか、ラウンドワン行くとか、わくわくしてます」とこぼす。

 共働きの家庭はさらに深刻で、こんな声が聞かれる。

「急に言われても休みがもらえない。低学年の子供がいるから、家で1人でお留守番をさせるのは心配」「休みのお願いが殺到して、会社もてんやわんやになってました。政府は『女性も働く社会を』と進めてきたけれど、結局こういう時のしわ寄せは全部、女性に来る」

 学校関係者にも困惑が広がっている。

 ある教師は「状況が状況だけに仕方がないのかもしれないが…」とした上で「学習指導要領が定める授業が確保できない。これが夏休み前なら、夏休みを減らして授業すべき日数をつくり直すこともできなくもないが、この時期では不可能。成績をつけることができない」と嘆いた。首相の決断に、共働きの保護者や学校関係者が大慌ての一方で、公衆衛生に詳しい関係者は「もっと水際で手を打っていればよかったのですが、パンデミック対策としては普通なのでは」と言う。

 さらに、ネット上では「大英断だが、ウイルスの感染拡大防止が目的であれば、学校だけを休業にしても意味はない。満員電車や外国人旅行者の入国も何とかしないと」と、もう一歩踏み込んだ対策を求める声もある。

 臨時休校の要請は社会システムにも影響している。すでに一部の病院では、子供のいる多くの看護師が出勤できなくなり、休診の決断に踏み切るところも出ている。こうした決断が広がれば、重病を抱えた患者がたらい回しにされ、適切な医療を受けられない可能性も考えられなくはないが、一部の医療関係者に負担のすべてを押し付けるわけにもいかない。

 さまざまな影響を及ぼす今回の措置だが、その裏側ではこんな意見も。

 ある経営コンサルタントは「これを機会にオフィスの働き方改革を試している企業もあります。電通も社員の新型コロナ感染を機に、全従業員5000人の在宅勤務を打ち出したでしょ? リモートワークとか提唱されても、実際のところなかなかできませんから、これを機に実験ができる。したたかに今回の動きを利用している会社と、役所から言われるがままの会社の差がどう出るのか。我々も興味深く見守っています」と指摘する。

 子育ての親が困惑する裏側で、仕事のこなし方が静かに変わろうとしているのかもしれない。