“漂流船”受け入れたカンボジア 地元民からは「すでに蔓延」の声

2020年02月15日 16時00分

 日本やタイが入港を拒み、2週間近く“漂流”していたクルーズ船「ウエステルダム」が、カンボジア南部のシアヌークビル港に到着し、14日から日本人5人を含む乗員乗客2257人の下船が始まった。

 乗船者らに新型コロナウイルス感染の症例は確認されておらず、体調不良を訴えた約20人も検査の結果、陰性とされる。フン・セン首相自ら、マスクもなしにお出迎え。バレンタインデーにちなみバラの花を手渡した。

 地元メディアを通じフン・セン首相は「上陸を認めたのは世界中で起きているパニックを防ぐため。本当の病はコロナウイルスではない。人々の中にある不安だ」と訴えたが、地元民は冷ややかだ。

 現地在住駐在員によれば「日本やアメリカのような医療先進国から、どうしてカンボジアが(クルーズ船を)押し付けられなくてはならないのか。もし感染者がいたらどうするんだ」という声が。また首相の指示か、出迎えの政府関係者も防護服やマスク姿でないため「あまりにも危機意識がなさすぎ」とあきれられているという。

 そもそもカンボジアは中国にベッタリで「国中のインフラ整備を進めているのも中国で、あちこち漢字だらけ」(同)という国。「ウエステルダム」の受け入れは中国への忖度とみる向きもある。

「そんな背景もあり、カンボジアはコロナに対し“ノーガード戦法”。中国人の入国はOKなのにクルーズ船を断るわけにもいかず、やむなく入港を認めたというのが本当のところでは」と駐在員は指摘する。

 シアヌークビルは近年、中国人があふれ返る人気観光地。「当局が発表してないだけで、すでにコロナが蔓延という噂もある」(同)。下船者は順次、空路でプノンペンへ移送され帰国の途へという流れだが、現地での移動はいささか心配だ。