中国ベッタリのカンボジアで新型コロナ感染者たった1人の怪

2020年02月13日 16時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】カンボジアのフン・セン首相がさる5日、中国・北京を公式訪問し習近平国家主席と会談。「新型コロナウイルスと闘う中国に対し支援を惜しまない。我々も中国人とともに事態に立ち向かう」と表明し「複数の国が中国人の入国制限を行っているが、これは望ましくない。ウイルス流行より怖いのはパニックだ」と加えた。

 カンボジア情勢に詳しい記者は「習近平は謝意を表したが、露骨なまでの従属外交に、カンボジアではあきれる声も。スタッフを大勢伴う外交使節をどの国も控える中、中国にはせ参じたのも異例だが、もっととんでもないことも言いだした」と語る。

 新型コロナウイルスによる肺炎(COVID19)のパニック震源地の湖北省・武漢に今いる自国の留学生23人を、中国人とともに闘い抜くよう激励し、サポートするため訪問すると表明したのだ。ただ封鎖都市に海外の要人を入れるのは危険だと、中国政府は拒否。「各国が武漢にいる自国民をチャーター機などで帰国させる中、逆にそのままい続けよとはひどすぎると激怒するカンボジア人も多い」(前出記者)

 訪中前からフン・セン氏はこの調子で、とある会見でCOVID19対策を聞かれ「ウイルスを過度に警戒する必要はない。カンボジア人は誰も感染してない。本当に恐ろしいのは無知からくる恐怖だ。メディアも誤った情報を発信するな。この場でマスクしている記者は出ていけ!」とたんかを切った。

 カンボジアで確認された感染者は、武漢から観光で訪れていた中国人男性(60)だけ。現地メディアによると、経過観察し、その後2度の検査では陰性で、一緒にいた家族も陰性。一般的な潜伏期間とされる14日を過ぎても発症はなく、最後にもう一度検査し陰性だったため、10日に退院した。これを受けフン・セン氏は「我が国にもはやコロナウイルスは存在しない」と宣言。

 感染者数が32人の隣国タイや14人のベトナムと違い、カンボジアは中国人を入国制限していない。昨年のカンボジア入国者はベトナム(約90万人)、タイ(約46万人)を抑え中国が230万人と断トツなのに、感染者が1人とはあまりに不自然だ。

「中国に忖度し、感染実態を隠している疑いは根強い。カンボジアでは、中国人が多く訪れる南部シアヌークビルで、すでに感染者が急増し死者も出ているという噂も。7日には、カンボジアを出国し深センへ帰った中国人のウイルス感染が確認されている。カンボジアに広がってないわけがない」(前同)

 カンボジアは一昨年段階で、外国投資の7割が中国資本だ。今後は中国による高速道路や港湾など大規模開発が予定されている。中国経済に過度に依存する国ゆえ、顔色をうかがわざるを得ないのだ。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。