【新型コロナウイルス】クルーズ船“2次被害”の不安 14日間滞留で“隔離施設化”

2020年02月06日 16時00分

横浜港沖に停泊中のダイヤモンド・プリンセス号(ロイター)

 新型コロナウイルスの感染が確認された香港人男性(80)が先月末まで乗船し、横浜港沖に停泊中のクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号の乗客乗員の中から、10人の集団感染が国内で初めて確認された。6日には新たに10人の陽性反応が発表された。この香港人男性は乗船前に東京に滞在しており、その後の鹿児島など寄港先を含め、2次、3次感染者が出る可能性もある。感染者10人は下船して医療機関に入院したが、船内で今後14日間滞留を強いられる2600人以上の乗客は高齢者が多いとみられ“2次被害”が心配される。

 厚労省などによると、今回感染が判明した乗客乗員10人の内訳は、50代と60代が4人ずつで、70代と80代が1人ずつ。国別では日本人が3人(50~60代の男女)で、中国人3人、オーストラリア人2人、米国人1人、フィリピン人乗務員が1人。

 咳などの症状、39度台の発熱がある人がいる一方、無症状の人もいた。10人のうち2人は、発端となった香港人男性との濃厚接触者。1人は途中寄港した鹿児島で、一緒に観光バスツアーに参加していた。

 そもそも、ダイヤモンド・プリンセス号とは、どんなクルーズ船なのか。「この10年で20回くらい乗った」という都内在住の女性(77)は、こう語る。

「日本人には一番人気です。他のクルーズ船より安く、九州と韓国を回る旅が10万円以下で手軽。電車や飛行機に乗らず、寄港地に着いてそのまま観光でき、出発地が横浜というのもラク。宿を取る必要もないですしね」

 利便性もあり、乗船客は「日本人の中高年や、日本観光の外国人が圧倒的に多い」という。今回の乗員は1045人で、乗客2666人のうち日本人は1281人。

「英語を話すスタッフも乗ってるから、外国人でも安心。外国人は飛行機で来て、日本各地を回って帰りはクルーズ船という人もいる。中国人も、いつも多いですよ」(同)

 船内は自由行動で、24時間いつでも食事ができ、夕食後と深夜の豪華ショー、展望風呂など娯楽や設備が充実している。「寄港地には日帰りツアーのバスが待機し、個人観光したいならタクシーも待機している。体調が悪かったら、自分の部屋で寝ててもいい。高齢者には、もってこいの旅。お医者さんや看護師なども乗船し、ケガや病気に対応してくれる」(同)

 だが、今回の状況はまるで違う。有症者120人と濃厚接触者153人の計273人からの検体採取を終えたが、結果判明は31人中の感染者10人という段階。残る約3400人には健康チェックは済ませたが、まだ多くが検査もしていない。

 厚労省は感染拡大を防ぐため、検疫期間の14日間程度、船内にとどまるよう求めた。同船は横浜港周辺にとどまるが、高齢者が多いとされる乗客の健康状態が懸念される。

「優雅な船旅から一転し、自室に閉じ込められ、自由がなくなればエコノミークラス症候群の危険性も出てくる。薬や衣料品も必要で、感染していない健康な人でも体調を崩しかねず、高齢者は特に心配。感染しているかもしれないという精神的な不安も含め、ウイルス感染だけではない“2次被害”への対応が必要でしょう」とは医療関係者。

 横浜市は対策会議を開き、乗員乗客の健康不安を訴えるケースに備え、要望があれば保健師を派遣するとした。6日朝にはクルーズ船が横浜港に着岸して食料などの補給も行われたが、これだけの数の乗客をケアできるのか。

 一方、香港政府などによると、香港人男性は1月10日に中国本土を訪れた後、同17日に香港から空路で東京へ。咳が出始めた翌日の同20日に横浜から乗船。同22日、鹿児島に寄港し、城山公園など鹿児島市内の観光名所を回る貸し切りバスツアーに参加した。同25日に香港で下船する前に咳がひどくなったが、船内ではレストランで食事を取り、サウナに入ったという。帰国後の同30日に発熱し、入院していた。

 6日発表によると、中国本土で死者が500人を超え、感染者は2万7000人を超えた新型コロナウイルス禍。日本国内では新たに京都市内に住む20代の中国人男性の感染が確認された。さらに千葉県では武漢市居住で1月に来日した40代男性の感染が確認された。

 6日には新たに10人の陽性反応があったことが厚労省から発表された。 東京や鹿児島、沖縄、ベトナム、台湾で2次、3次感染者が出る不安も大きいが、豪華客船が一転、“隔離施設化”し、過度なストレスを抱えることになってしまった乗客たちが心配だ。