ベルギーの前国王アルベール2世(85)が隠し子を正式に認め、その実子の娘をめぐり、地位や相続資産がどうなるかと注目を集めている。

 ベルギー人の女性彫刻家デルフィーヌ・ボエルさん(51=同(右))が2013年に「自分はアルベール2世の娘」と、認知を求めた訴訟で、両者のDNA鑑定が行われ、親子関係が判明。アルベール2世の弁護団が27日「前国王はDNA検査の結果と科学的な結論として、自分がボエル氏の生物学的な父親だと示していると知った」と声明で認めた。

 ベルギー国内では長年、隠し子は公然の秘密だった。

「1999年にパオラ王妃の非公認伝記本が出版され、アルベール2世が皇嗣時代の60年代に王妃と別居し、男爵夫人だったセリス夫人とのW不倫で女児をもうけていたと明かされたのが最初。以降、国民はみな本当だろうと思っていたが、憲法で不可侵の存在と認められた国王だったため、生前退位した13年以降、民事訴訟が受理された」(海外メディア関係者)

 裁判でアルベール2世は血縁関係を否認し、DNA提出を拒んでいたが、昨年、控訴裁(高裁)から「提出しない場合は罰金としてボエル氏に1日5000ユーロ(約60万円)を支払え」と命じられ、提出していた。

 正式認知でボエルさんはアルベール2世の4人目の子供となった。フィリップ現国王(59)、アストリッド王女(57)、ロラン王子(56)らの妹となったが、王位継承の対象とはならないという。

 一方、弁護団が相続の権利について「他の子供と同権だ」としたことで、その相続額が注目される。

「ベルギー王室は“欧州最貧”といわれ、アルベール2世の退位時の資産は約20億円だった。今、亡くなったとしてもボエル氏が相続するのは2・5億円ほどの計算。欧州一といわれるリヒテンシュタイン公国元首の個人資産が4800億円といわれるのと比べるとその差は歴然」(前出関係者)

 実子と認められたボエルさんは「自分が何者なのかを追求する長い悪夢が終わり安堵した」とコメントを発表した。