タイのお守り「プラクルアン」数億円のものも! 不動産などの担保としても通用

2020年01月09日 16時00分

作られた寺院や年代、形によって価値はさまざま

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】仏教国タイでは、仏像や僧侶のミニチュアをそのままお守りにしている。これは「プラクルアン」と言い、仏の加護を得られるアイテム。国内各地の寺院で作られ、中高年男性には高い人気を誇る。日本のお守りは神社の宮司やみこがおはらいしてから社務所で売られるが、こちらも僧侶が読経をささげたもの。

「プラクルアンに対するタイ人の思いは、日本のお守りの比じゃない。本当に高い効力があると信じられている」とは首都バンコク在住駐在員だ。

「特に有名な高僧が念を込めたといわれるプラクルアンには強力なパワーが宿っているとされ、高値で取引される。作られてから数百年たっていて考古学的な価値もあるもの、古い寺院の建物のかけらから作られたもの、高僧の遺骨や遺髪が入っているものとなると、数億円単位で取引されるとも。不動産などの担保として通用するものもあるほどで、タイ社会でプラクルアン市場は巨大です」

 ただ、中には巧妙な偽物が紛れ込んでいることもある。また、作られた年代や寺院、かたどられた僧侶の位などにより価値はさまざまで、真贋を見極める必要がある。そのため愛好家たちには、さながら宝石鑑定士のような眼力が求められる。

 プラクルアンの一大マーケットがあるのは、バンコクの人気観光スポット、王宮やワット・ポー(涅槃寺)裏手にあるマハラート通り。週末ともなれば、業者だけでなく、自慢のコレクションを売買しに来る人々でにぎわう。ルーペで細かく造作や仏像の表情をチェックし値段交渉するその表情は真剣そのもの。中には思わぬ掘り出し物が紛れており、安値で買ったものが日本円で100万円、200万円の価値があると鑑定されたという話もあるからだ。

 この通りに並ぶ書店や古書店で売っているのはお守り専門雑誌。プラクルアンの年代の見極め方、彫られた古い経文の意味、効力、いま御利益があると話題の僧侶の紹介など多岐にわたり、マニアがこぞって買い求める。こうした雑誌だけでも無数にある。

 プラクルアンはとりわけ身を守る効果が高いといわれる。交通事故に巻き込まれ、プラクルアンを身に着けていた人だけ助かったという話も多い。そのためタクシーやトゥクトゥク(三輪タクシー)の運転手が車内に飾っていたりする。

 また運気アップ、財運をもたらすとも考えられ、タイで働く日本人駐在員の中にも、ひそかに隠し持っている人もいる。タイ通の間では、隠れた人気お土産なのだ。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。