決着遠いラブドール盗難事件 被害者が怒りの検察審査会申し立て

2020年01月08日 08時00分

ラブドール窃盗犯を糾弾する兵頭氏(画像は一部加工)

 昨年、決着したはずの世界初“ラブドール盗難事件”(本紙既報)がこじれている。ラブドールを盗まれた「八潮秘宝館」(埼玉県八潮市)の兵頭喜貴館主が犯人を自ら突き止め、昨年7月に民事訴訟で勝訴したにもかかわらず、刑事では不起訴。検察が先月、窃盗容疑で送検されていた男と共犯の弟を不起訴処分としたのだ。怒り心頭の兵頭館主は今後、どう動くのか。

 岩手県の山中で兵頭館主が撮影のため置いていたラブドールが盗まれたのは2016年6月だった。翌17年8月、盗難品がネットオークションに出ているのを知人が見つけ、オークションを通じ窃盗犯の兄弟を特定。兵頭氏は昨年3月、損害賠償請求訴訟を起こした。

 昨夏、この民事訴訟中に兄弟は岩手県警に検挙され、窃盗の事実を認めた。この民事訴訟でも埼玉・越谷簡易裁判所は原告の主張を認め、兄弟が窃盗、詐欺、器物損壊を行った事実を認定し、131万円余りの賠償金支払いを命じた。

 その後、兄弟の母親と兵頭氏との間で賠償金支払いの約束が交わされ、事件は全面解決と思われていたのだが…。

 岩手・盛岡地検は、兄弟がすでに被害弁済し、反省していることを考慮し不起訴とした。

「男(兄)は別の詐欺被害者に対し、謝罪や償いを一切行ってない。これのどこが反省していると言えるのか。単に私の猛攻に屈しただけ」と兵頭氏は憤る。

 また、全被害が金で弁済できるわけでもない。

「賠償金をもらっても同じ人形は取り戻せないし、窃盗被害に遭った上、人形がネットオークションで売られていたので、証拠品として確保しようとしたら、今度は男によるつり上げ(落札価格を不正につり上げる行為)詐欺被害に遭った。罪から逃れようとする悪党となかなか動かない警察をブログなどで糾弾したら、男は私を虚偽まみれの名誉毀損で刑事告訴し、私は容疑者にされ家宅捜索、取り調べを受けたんです」(兵頭氏)

 精神的被害や失われた時間は金では取り戻せない。しかも賠償金を毎月分割で払っているのは母親だ。

 兵頭氏は「当然、刑事罰を受けることを前提に話し合いをし、解決させたつもりだったのに、検察が全て台なしにしてくれた。金で取り戻せるものは金で償っていただき、金で取り戻せない被害は男たちに刑事罰で償ってもらう…それがこちらの望みでした」と言う。

 だが事件は不起訴に。

「検事は『窃盗罪での不起訴処分に不服があるなら詐欺罪でも告発しろ』と言ってました。しかし岩手の刑事は『男の詐欺行為は商行為の自由の範ちゅうだ』と、まともに取り合おうとしない。岩手の警察と検察がグルになり犯罪を隠蔽しようとしているとしか思えませんよね。そもそも警察が盗難事件で動かなかったので、やむを得ず民事裁判を起こし、勝訴して賠償命令が下ったのに、刑事審判は不起訴って、何のために刑法はあるんでしょうか」(同)

 検察の調べもずさんだったという。

「検事は突然電話してきて、上から目線の決め付けで質問するので、話がかみ合いませんでした。事件の全容は複雑で、少し話して説明できるレベルではないので、すぐに反論の文章と証拠を提出しましたが、そちらも無視。そもそも警察と刺し違える覚悟で闘い、何とか検挙まで持っていったんです。考えてみたら、その警察が自分たちに都合の悪いことが書かれた調書を作成するわけないでしょう」

 兵頭氏はまだまだ動く。

「まずは検察審査会に申し立て、窃盗で起訴できるよう頑張ってみます。申し立てが認められたら検事をぶっ倒せますよね。次、闘う相手は盛岡地検」とのことだ。