東南アジア初の野球プロリーグ開催・ラオスに野球を広めた韓国のベーブ・ルース

2019年12月26日 16時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】ラオスで今、東南アジア初の野球プロリーグが催されている。男女各3チームのリーグ戦で、先月16日に開幕し来月11日までの予定。

 開幕に合わせ首都ビエンチャン東部では、ラオス初の野球場建設が進んでいる。現在はサッカー場などを流用しプレーしているが、地元紙などによると新球場には人工芝を敷くという。

 ラオスは東南アジアでも影の薄い山岳国。これまで野球とほとんど縁がなかったが、昨年は野球連盟が誕生し、アジア大会に出場した。

「韓国がバックアップしていて、球場建設は韓国大手金融グループDGBが3億ウオン(約2800万円)支援。リーグ名『KOICAカップ』のKOICAは韓国国際協力団の略で、日本のJICA(国際協力機構)のようなもの。途上国支援をしていて、ラオスでも活動を続けている」とはビエンチャン在住駐在員。

 きっかけをつくったのが“韓国プロ野球界のレジェンド”李萬洙(イ・マンス)元選手(61)。サムスン・ライオンズ一筋16年で強打の捕手として鳴らし、1984年には韓国球界初の3冠王に。創設されたばかりの韓国プロ野球を支え、「韓国のベーブ・ルース」とも呼ばれる。引退後は監督などを歴任し、2013年、知人の実業家に誘われラオスの野球支援に乗り出した。

 当時ラオスには「野球」という言葉そのものがなく、選手を集め、基礎から鍛え上げた。資金難にも直面したが韓国で寄付を集め、DGBなどスポンサーも集めて乗り越え、翌14年には国内初チーム「ラオス・Jブラザーズ」を結成しオーナーに就任した。

 プロリーグとはいえ、まだチームは地元学生や兼業選手がほとんど。競技人口も数百人だが、野球は少しずつラオスに浸透しつつある。

「韓国はエンタメやスポーツを通じ国際社会で存在感を強めてきた。東南アジアでは顕著で、野球に先駆け80年代から国技テコンドーの“輸出”が始まり、現地で親しまれている。小さな町にもテコンドー教室があり、子供を通わせる親は多い。また韓国の有力企業が大会のスポンサードや支援をし、競技の普及だけでなく韓国への親近感を高めている」(前出駐在員)

 こうした文化的つながりをつくった上で企業が進出。ラオスでは、ガスや電力、金融や建設などの分野で韓国企業が躍進している。ラオスを代表する企業に成長した韓国系中古車ビジネスもある。

 ラオスで日本は韓国に押されっぱなしで、語学学校では日本語より韓国語、アイドルも韓流メイン。アジア野球も、日本ではなく韓国というイメージだという。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。

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