身勝手な大人が起こす悲惨な児童虐待事件が後を絶たない中、全国で探偵業を展開する「ガルエージェンシー」代表取締役である渡邉文男氏が、NPO法人「児童虐待ZERO」(大阪市北区=以下、ZERO)を設立した。探偵業のノウハウを駆使し、虐待事案を早期に認知するシステムの構築を目指す。

 ZEROの窓口担当、福林英哉氏は、これまでの探偵業を踏まえて「私たちは、これまでにも児童虐待やいじめなどの相談を多く受けており、調査して数々対応してきました」と語る。

 児童虐待防止法では、国民に対し「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに福祉事務所、児童相談所に通告しなければならない」と義務付けている。しかし、現実には周囲の人々が積極的に通告することはあまりない。

 そこで、福林氏は「私どもは全国に展開する124拠点に広がるネットワークを上手に活用し、一人でも虐待から子供を助けられるのではないかと考えて、ZEROを立ち上げたのです」。

 ZEROでは探偵業のノウハウを活用できる。

「活動方針は、ガル社のネットワーク力と調査力を用いて、虐待事案を早期に認知するシステムの構築を目指します。認知した虐待事案を調査して事実を確認、立証します。関係機関への通報制度を構築していきます。メディアを通じて広報活動を展開し、虐待事案撲滅の啓発運動を展開していくつもりです」(同)

“調査ができるNPO”というわけだ。

 子供の虐待事件では、行政や関係機関の支援が重要になる。

「現在はガル各支社のベテランエージェントが理事を務めています。今後は、児童虐待の相談に対応できる心理カウンセラーなどの専門家の協力を得たい。児童相談所はじめ、社会福祉団体等とも連携を深めたいと考えています」。