社会問題化・マレーシアでは「振り込め詐欺=マカオ」

2019年12月12日 16時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】日本同様、マレーシアでも振り込め詐欺が社会問題化している。

 現地報道によるとさる7日、中部ラウブ在住の女性に高等裁判所職員を名乗る男から「未払いの税金がある」と電話が掛かってきた。女性は身に覚えがなく、抗議すると、今度はジョホールバル警察を名乗る電話が。「あなたの個人情報が悪用されている。調査のためオンラインバンキングのIDとパスワードが必要だ」などと誘導され、口座に入っていた1万3000リンギット(約34万円)を引き出された。

 また中部スレンバン在住女性の元には先月、警察を称する男から「あなたが金融犯罪に関わっている疑いがある」という電話が。銀行口座の監査をしなくてはならないという理由で暗証番号などを聞き出され、38万リンギット(約990万円)も引き出されてしまった。

 こうした詐欺が各地で連日起きている。いずれも身元のしっかりした警察や銀行、役人などを装った電話で、複数人物が次々と登場。判断力を失わせ、巧みに口座情報を奪う手口だ。電話の発信元をたどるとマカオであることが多いため「マカオ詐欺」と呼ばれている。

 地元警察によると、今年発覚したマカオ詐欺は1612件で、被害総額はおよそ8000万リンギット(約21億円)。被害額が少ないケースも目立つが、詐欺グループはそれだけ手当たり次第、幅広い層をターゲットにしているようだ。また少額の被害では「恥ずかしいから」と警察に訴えないこともあるため、実際の被害件数ははるかに多いとみられている。

 当局は、一定額以上の銀行取引に対し中央銀行へ報告することを義務付けたり、フェイスブックなどSNSでも注意を促しているが、被害は増え続ける一方。なおマレーシアで詐欺罪は、最長10年の懲役とムチ打ちが科される。

 近年は振り込め詐欺のグローバル化が顕著で、3月にはタイの人気リゾート地パタヤで日本人の振り込め詐欺集団が摘発された。先月にはフィリピンの首都マニラで日本人36人が逮捕。また中国人詐欺グループもカンボジアやタイなどで暗躍し、たびたび摘発されている。「マレーシアにも、アジア諸国を股にかけた国際的詐欺集団が存在する」とは、首都クアラルンプール在住記者。

 そうした犯罪組織の拠点の一つがマカオだといわれる。マカオは中国の一部だが、香港と同様「一国二制度」の下、カジノに代表される賭博も認められ、国際的マネーロンダリングの拠点になっているという噂も。ただ、マレーシアを狙った振り込め詐欺組織は、すでにマカオの拠点を離れたとみられる。それでも「振り込め詐欺=マカオ」のイメージが定着してしまったマレーシアでは、警察もメディアも「マカオ詐欺」と呼んでおり、マカオ当局は困惑しているという。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「バンコクドリーム『Gダイアリー』編集部青春記」(イースト・プレス)。

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