中国で今月から「養犬管理条例」スタートも“リードは子供につける”習慣では普及期待薄

2019年11月21日 16時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】中国で今月から「がスタートした。山西省太原市を皮切りに広東省広州市、江蘇省蘇州市などで続々と施行。散歩する場合、犬は必ずリードでつなぎ、その長さは1・2メートルを超えてはダメというペット条例だ。北京在住記者が現状を明かす。

「中国ではリードなしの散歩が圧倒的。犬にほえ立てられたり追っ掛けられたりといったトラブルが相次ぎ、飼い主のマナーの悪さが問題になっている。違反しても罰金は50元(約775円)。人にケガさせるなど悪質な場合、罰金は最大2000元(約3万1000円)だが、犬は没収されます」

 中国では、大量に普及した電動バイクの飛び出しをはじめ、交通マナーも悪い。このため、犬のリードはバイクに巻き込まれむしろ危険と、全く普及しないという。

「リードは犬ではなく子供に付けるのが中国式。しかも手錠風のリードを我が子の手首にはめる。日本人には理解し難い感覚だが、これは子供の誘拐がいまだにあるという側面が大きい」と同記者。

 犬のフンの放置も問題になっており、北京では一風変わったキャンペーンが始まった。地元紙「澎湃新聞」によれば、昌平区の住宅街にあるコンビニが、犬のフン1斤(約500グラム)と卵1斤を交換している。「道端のフンを持参する人が殺到し、交換する卵が足りなくなる事態に。これほどの大反響とは思わなかったが、地域はきれいになり、環境が改善された」とコンビニオーナーは満足そう。

 5月に始まったこの取り組みは今やすっかり普及し、街の名物に。これまでの最高記録は26斤(約13キロ)のフンを拾ってきた女性だが、フンの持ち込みがあまりに増えたため、今は1人最大5斤までと制限している。それだけ北京の街は犬のフンだらけということか。

 地下鉄内での飲食や店内での喫煙禁止、ごみやたばこのポイ捨ても近年、厳しく取り締まるようになっている。罰則を伴う法律を施行するのが特徴で、海南省海口市はごみのポイ捨て違反者に罰金50元のほか、メディアでの公開謝罪が科され、賛否渦巻いた。

「経済成長を遂げ、政治的にも軍事的にも超大国となり、習近平国家主席は事あるごとに『我々は世界平和の維持者であり、自由貿易体制の守護者』と自画自賛しているが“文明素質”が外国と比べて低く、マナーが悪いことを公に認め、改善に躍起だ」(前出記者)

 とはいえ、生活に根差してきた習慣をいきなり「非文明的だ」と断罪されることに戸惑いも大きい。すぐにマナー向上とはなかなかいかない。長い目で見るしかない。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「日本の異国」(晶文社)。