台風15号による千葉県内の住宅被害が、少なくとも2万戸を超える見通しであることが17日、分かった。県内の広域停電は、17日午後10時現在も約5万8000戸で続いている。

 台風による被害や停電で苦難が続く千葉県内で便乗詐欺、悪質業者が暗躍し問題になっている。

 市原市や袖ケ浦市の住宅には台風被害の3日後くらいから、市の職員をかたり「屋根の点検をします」「市の要請で無料で屋根の修理をします」などと不審な電話がかかっている。佐倉市では「市職員が義援金を受け取りに行きます」など、実際にはあり得ない電話が掛かってきた住民もいるという。

 県や市では「職員が個人の住宅の修理を特定の業者に要請することはない」と注意を呼び掛け、対処法として「相手の身元を確認し、すぐに依頼せず、家族や知人、複数の業者に相談し、クーリングオフの説明を聞く、見積書、契約書をよく確認すること」としている。

 だが実際に、被害者も出始めているという。

「いかにも親切心で来たような雰囲気で業者風の人間が現れ、吹き飛んだ屋根にブルーシートをかけたが、粘着テープで止めるだけの簡単な作業で20万円取られたケースも出ている。屋根の範囲にもよるが、相場は工賃を含めても5万~10万円くらいだから悪質。他にも『先に料金をもらえれば優先して作業します』と料金を受け取り、そのまま逃げられたという被害情報も上がっている」(地元関係者)

 いち早い復旧を望む被災者感情につけ込んだ悪質業者、手付金詐欺といえそうだが、被災地では今後も注意が必要だ。

「避難している家を狙う空き巣被害に備えて貴重品を自宅に残さないのは基本。生活必需品や寝具などの法外な価格での押し売り、建物の修繕費用などの借り入れ需要を狙った高金利の融資業者などが入ってくる可能性がある。いずれも1人で決めず、周囲に相談し、正当な業者かどうか見極めてほしい」と消費者問題関係者。

 迷った場合は、消費者庁の電話相談窓口・消費者ホットライン(局番なしの188=いやや)などに相談するよう呼び掛けている。