ミャンマーでの成功のカギはフェイスブックにあり わずか1年で国民的アイドルに

2019年08月15日 16時00分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】ミャンマーで今、最注目のネットアイドルが、ショートカットに童顔のピューピュー・トゥエさんだ。

 ボディーラインがなまめかしい民族衣装。そんな格好でコミカルに踊る姿がフェイスブック(FB)で話題になり、さらにインスタグラムやショート動画アプリTikTokでも人気に。FBのフォロワーは今や120万人以上で、ミャンマー有数のインフルエンサーになった。

 その背景にあるのが、ミャンマーのスマホ事情。民主化が進展して外資が参入するようになり、ここ数年で一気に普及した。最大都市ヤンゴン在住記者が解説。

「日系企業ではKDDIや住友商事も出資し、競争が激化した結果、通信環境は大幅に改善した。2000~3000米ドル(約21万~31万円)と高額だったSIMカードは、1・5米ドル(約160円)と大幅に下落し、通信速度もアップ。さらに隣国タイや中国などから、格安スマホが大量輸入されてくる。通信料も値下がり競争が続き、今では1ギガあたり1000ミャンマー・チャット(約70円)と、庶民にも手が届く価格帯になってきた」

 地方の農村部では固定電話の回線が引かれてない地域も多かったが、それより手軽で安価なスマホに誰もが飛びついた。4年ほど前、たった3%だったスマホ普及率は、現在90%。そんな中、とりわけ特徴的なのが、FBの圧倒的なシェアだ。

「スマホの急速な普及に対し、ウェブページの制作が追いつかず、技術者も全く足りなかった。そこで各企業は自社サイトを作るより先に、まずFB上にプラットフォームを開設。この流れがそのまま定着し、あらゆるサービスや情報がFB経由となっていった。これは個人も同様で、FBメッセンジャーを使ったやりとりから情報収集まで、何もかもがFBで交わされるようになった」(前出記者)

 進出著しい日系企業も、ミャンマーで成功するにはまずFBをどう活用するかが重大テーマだと言われる。FBで注目されれば爆発的な話題になる。ピューピューさんがいい例で、たった1年ほどでオンラインの世界を飛び出し、今ではテレビなどでも人気の存在になった。

 腰のくびれやヒップラインがあらわな巻きスカートと、胸の膨らみがつつましやかな民族衣装でミャンマー男子たちをとりこにしているが、一方ではバッシングも。

「年配の人や保守層には『伝統的な衣装に泥を塗るな』『セクシーなダンスや人気取りのための服ではない』という声も多い。それで反省したのか、最近はダンスより、実家だという農村の暮らしぶりをリポートする動画が増えてきた。収益は村の生活の改善に使っていると言われているのも、彼女の人気を支えている」(前同)

 ちなみにピューピューさん、年齢は非公表らしくどこにも出ていない。暴走ファンに私生活を荒らされないといいが。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「日本の異国」(晶文社)。