タイで最も美しいホアヒン駅でテロ未遂 日本人観光客は軍関連の施設に要注意

2019年08月08日 16時00分

インスタ映えスポットのホアヒン駅

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】タイ・バンコク各所で2日朝、爆弾事件と火災があり、4人が負傷した。

 爆発が複数回起きたのは、歓楽街パッポンやタニヤにほど近いBTS(高架鉄道)チョンノンシー駅や、その駅前にある“ギザギザ造り”のバンコク最高層ビルのマハナコンタワーそば。また入国管理局が入るバンコク北部の政府庁舎でも爆発があった。

「大手メディアが報じているのはそこまでだが、外国人観光客に人気のプラトゥーナム市場、国軍関連施設周辺などでも小さな時限爆弾が炸裂。規模こそ小さいが現場は計10か所に及ぶ。これは周到に計画された同時多発テロだ」(現地在住記者)

 さらに地元紙バンコク・ポストは4日、南部のリゾート地のホアヒン駅前で爆弾を仕込んだバイクが見つかったと報じた。情報を受け警察が周囲を封鎖、鉄道を止め捜索し、バイク3台を押収したという。

 ホアヒン駅は寺院を連想させる伝統的な建築スタイルで有名。「タイで最も美しい鉄道駅」と呼ばれている。深紅とクリーム色のかわいらしいデザインで“インスタ映え”すると、昨今は日本人にも人気のスポットだ。

 地元警察は、問題のバイクは南部3県のナンバープレートだったと発表。タイ南部は文化的にマレーシアに近く、イスラム教徒が多数派だ。かつて独立国だったパッタニー県をはじめ、ヤラー県、ナラティワート県にはタイからの独立を目指す過激派組織があり、テロが頻発している。バンコクでの連続爆弾事件も、その「分離主義者」によるものという報道があるが、前出記者はこれに否定的。

「南部のテロ犯にとって独立は、お題目にすぎない。テロの原因は麻薬利権で、争いは南部だけに限定されてきた。だからタイ政府に攻撃を仕掛ける意味も、首都を狙う理由もない。警察がわざわざナンバープレートについて発表したのには、南部の犯行に世論を誘導したいという意図を感じる」

 ホアヒンに豪華な駅があるのは、王室の別荘地でもあるから。駅にはかつて使われていた王室専用の待合室もあり、市内には総チーク造りの宮殿など王室ゆかりの場所も多い。「そのホアヒンで起きた事件だから、王室に不満を持つ者の犯行ではないかと噂する市民もいる。一方で軍に対する攻撃だという声も根強い」(前同)

 タイは軍事政権。3月に総選挙を行い、7月にようやく新政権が発足した。これで民政移管だと言われるが、首相以下主要ポストは軍政時代と変わらず、軍が政治を支配する状況は続く。ゆえに軍に対し不信感を持つ層も多い。

 お盆休みの日本人旅行者は、軍関連の施設、また人の集まる観光地で気を付けたほうがいい。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「日本の異国」(晶文社)。