ドサクサ紛れの「パイタッチ」横行

2013年06月06日 07時00分

大騒ぎするサポーターと厳戒態勢の警察官(東京・渋谷のスクランブル交差点)

 若者の街・渋谷はやはり封鎖できなかった! 4日のサッカーW杯アジア最終予選、日本はオーストラリアに1―1と引き分けてW杯出場を決めた。サポーターは東京・渋谷のスクランブル交差点で大暴れするのが恒例だが、今回は警視庁が事前に横断規制を断行。試合後の大騒ぎがどうなるか注目されていたが、お上の決定にひるむ若者たちではなかった。交差点ではドサクサ紛れの「パイタッチ」や「ケツタッチ」が横行。その後、「マルキュー」(109)前に“ピッチ”を移して大暴れした。夜のバカ騒ぎを詳細リポートする。

 キックオフ30分前の午後7時、早々と“その瞬間”に備えて渋谷の街に警察官が大量に投入された。後半終了間際の9時20分ごろ、本田がPKを決めると「やっぱ持ってた!」「ニッポーン!!」の掛け声とともに、試合を見守っていたサポーターが飲食店から飛び出した。

 警視庁は数日前から混乱を警戒して、スクランブル交差点の斜め横断規制を発表していた。サポーターは毎回、国際試合終了後に勝っても負けても交差点を走り回って騒ぎを繰り広げるからだ。

 交差点近くのビルに入る「スターバックス」でも2階席の入場規制を実行。こちらは「交差点の騒ぎを2階の窓から撮ろうとした客であふれて、階段から転げ落ちる人が毎回出る」(店員)からだ。警察の規制決定は影響を与えること必至のはずだった。

 ところが、W杯出場決定を見届けたサポーターは、迷うことなく交差点に殺到。縦横の横断は許されているため、青信号でサポーターは叫び声を上げながらいつものようにハイタッチを交わした。しかも斜め横断を規制したため、交差点それぞれの角にたまる人間の数はいつもの倍以上にもなった。騒ぎを眺める男性からは「逆に危険じゃないか」という声も。

 懸念は現実になった。手をつないだ複数の警察官による“人間の壁”に囲まれながら交差点を渡る人々の中には、ハイタッチならぬ“パイタッチ”を強行するバカ者が続出。警察官の目の前で「胸触られた!」「ケツ触るな」という女性の声が響くが、人数が多すぎて警察官も対処できない。

 車両の上から大声で混乱を静めようとする警察官にも“迷言”が飛び出た。

「みなさん、イエローカードが出る前に、車道から歩道に上がってくださ~い!」と拡声器で呼びかけると、群衆からは失笑とともに「おまえが退場だよ」との罵声や「日本の公務員ならそのスピーカーで『ニッポン』と叫べよ!」などのやじが飛ぶ。

 しかしながら、斜め横断規制にサポーターは黙っていなかった。「マルキュー」ことファッションビル「109」前交差点の警察のマークが薄いことに気付いた若者たちは自然と集合した。

 この場所は横断に一切の規制がなく、警察官の数も極端に少ない。爆竹を鳴らし、ロケット花火を飛ばし、ペットボトルの水をまき散らしながら、あらん限りの叫び声を上げた。これではスクランブル規制も全く意味がない。

 その場にいた外国人も「クレイジー」と目を丸くしてつぶやく。センター街にも鉄柵で入場規制が設けられていたのだが、全く気にすることなく乗り越えて自由に行き来する若者も続々と現れ、その現場を1人で任された警察官が「応援よこしてくださ~い」と無線で泣きを入れる様子も見られた。

 サポーター対警察の“戦い”はサポーターの圧倒的勝利に終わったようだ。