朝日新聞がハンセン病巡る誤報でおわび掲載 ネット上では陰謀論も

2019年07月10日 16時20分

 ハンセン病患者の隔離政策による家族への差別被害を認め、国に損害賠償を命じた熊本地裁判決について、安倍晋三首相は9日午前9時前、「家族の苦労をこれ以上長引かせない。控訴しないこととした」と表明した。

 家族541人に計約3億7600万円の賠償を命じた判決が確定する。

 ところが、朝日新聞は9日付朝刊1面で「ハンセン病家族訴訟 控訴へ」の見出しで「政府は控訴して高裁で争う方針を固めた。政府関係者が8日、明らかにした」と“スクープ”報道し、結果的に大誤報。「ハメた」「ハメられた」とカンカンガクガクの騒動だ。

 誤報の朝日はウェブ版で「誤った記事を配信したことをおわびします」と午前10時44分付で追記し、同日付夕刊と10日付朝刊にもおわび記事を掲載した。永田町は早速、この話題で持ちきりだ。

「控訴期限が12日に迫り、政府内でも意見が分かれていた。控訴すれば参院選に影響するのは間違いなく、安倍首相は3日の記者クラブでの会見で控訴断念を示唆する発言をしていた。それだけに朝日は、よほどの筋から確固たる情報を得て1面で報道したのでしょうが、誤報となっては政権にマイナスのイメージを与える印象操作にもつながる話で責任重大です」(永田町関係者)

 朝日が情報源を政府関係者としていたことでネット上では「官邸からガセ情報をつかまされた」との陰謀論も噴出した。官邸とバトルを繰り広げている東京新聞の望月衣塑子記者がモデルになった映画「新聞記者」が先月末から公開中で、劇中では官邸によるSNSやメディアを使った情報操作が描かれているとあって「映画さながらのリアルな展開だ」「誰がウソをついたのか取材過程を明らかにすべき」と色めき立った。

 朝日は、朝刊では「政府関係者が明らかにした」としていたが、おわびでは「複数の政府関係者への取材をもとに」と“複数の”が書き加えられており、取材源秘匿のための配慮とみられる。

 朝日は過去にも慰安婦報道や吉田調書事件での誤報があったが、今回は選挙中だけに単なる誤報では済まされない話になっている。