エベレスト登頂三浦氏 代理店頼らず自らスポンサー回り

2013年05月25日 11時00分

 登頂成功の裏に資金調達というとてつもない高い“絶壁”があった!! 23日に世界最高齢記録で最高峰エベレスト(中国名チョモランマ、8848メートル)の山頂に立った冒険家でプロスキーヤーの三浦雄一郎氏(80)の快挙は、資金や物品を提供したスポンサー企業や個人の寄付に支えられたものだった。今回の遠征だけでもかかった費用は数千万円。三浦氏はなんと自ら企業を回って支援を求め、文字通り自らの足で成し遂げた偉業だった。

 

「ありがたかったのは、命をかけたプロジェクトでリスクもあるけれど、みなさんが三浦を信頼してくれたこと。しかも『無理しないでください』とまで言っていただいた」


 長女で事務所「ミウラ・ドルフィンズ」代表取締役の恵美里さん(52)はそう振り返る。


 1つ目の“絶壁”は、高齢による不安。不整脈に悩まされ心臓手術も受けた三浦氏の挑戦には、同氏に近い登山のプロからも命を心配する声が上がった。スポンサーにしてみれば、万が一のことがあったら企業イメージにかかわりかねない。それでも快く協賛を引き受けてもらった。


 2003年、08年に続いて3回目となる三浦氏のエベレスト登山は、3年にわたるプロジェクトとして行われる。活動を経済的に支えるのがスポンサー企業で、今回はメーンの5社と1学校法人をはじめ、計約20社・団体が集まった。


 2つ目は高額な資金という壁だ。今回の遠征にかかわったメンバーはサポートスタッフを含めて約30人に上る。恵美里さんによると、諸経費も含めて登山に5000万~6000万円かかり、記録映像の撮影および日本への配信費用が1000万円以上。一昨年からのトレーニング費用などを加えれば、三浦氏のエベレスト挑戦は億単位の資金を要したとみられる。


 これを調達するため、三浦氏は代理店に頼らずに高齢をおして自ら会社回りをし、エベレストへの熱意を訴えて支援を求めた。


「この5年間、リーマン・ショックや3・11の震災が起こったという経済状況の中で、三浦がやろうとしたことの意義をスポンサーの方々がくみとって、ご支援いただいた」と恵美里さんは感謝する。言ってみれば、リーマン・ショックや震災までもが三浦氏の前に立ちふさがる高い壁となったわけだ。結局、足りない分は2000万円ほど集まった寄付金や、三浦氏個人の講演料などでまかなった。


 メーンスポンサーの企業は東芝とサントリー、日野自動車、明治、三菱UFJニコス。


「チャレンジ精神に共感した。グローバルな話題で、当社のブランディングの向上にご協力いただいている」(東芝)


「当社の『セサミンEX』は若々しさを維持する力が減少する方に向けたサプリ。アンチエイジングの象徴である三浦さんを見て、『私も』ということで、多くの方にご利用いただいている」(サントリー)


 日野自動車は「我々もダカールラリーで参加していて、過酷な自然に挑むという共通点がある。社長は従業員向けの話で、三浦さんの事例を出している」。明治は「三浦さんが『ヴァーム』(アミノ酸飲料)を愛飲していたのを機に契約した。1アスリートとして幅広くPRできている」という。


 もっとも、6月予定の帰国まで続く遠征はまだ終わったわけではない。とりわけ神経を使うのはベースキャンプ(5300メートル)までの山くだり。今年は好天に恵まれたが、裏を返せば雪が解ける可能性もあるといい、同キャンプまで気を抜けない。無事下山し、日本へ帰国するまでが、三浦氏のチャレンジなのだ。