香港デモ隊VS警官隊で負傷者70人 警察当局「速竜小隊」投入の修羅場

2019年06月13日 16時00分

催涙ガスも漂った衝突現場(ロイター)

 道路を埋め尽くした若者らは、催涙弾の煙がもうもうと立ちこめる中を逃げ惑った。「悪法の可決を絶対阻止する」。12日、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を求め数万人が香港立法会(議会)周辺を占拠し、一部で警官隊と激しくぶつかった。負傷者は70人以上。デモ隊が撤退を余儀なくされた後の路上には、反対運動を象徴する雨傘が無残に転がっていた。

「がんばれ!」。占拠した若者はそろいの黒いTシャツにマスク姿で、多くは20歳前後。警官隊と対峙する“最前線”へ、後方から絶え間なく声援が上がった。ヘルメットをバケツリレーのようにして前列へ送る。警察当局は11日夜から態勢を強化、地元メディアによると、機動隊や「速竜小隊」と呼ばれる特殊部隊も動員した。

 12日午後、にらみ合いの最前列で一気に緊張が高まった。デモ隊の一部がバリケードを取り除き始め、制止する警官と激しい口論に。警官隊の発射する催涙スプレーを傘で防ぎながら、数百人が一気に敷地内になだれ込んだ。

 デモ隊が敷地内の建物付近の柵を壊し始めたところ、応援の警官隊が到着。「パーン」。乾いた音とともに催涙弾が次々に発射され、白い尾を引きながら飛び交う。催涙ガスの強烈な刺激臭が漂った。若者らは煙の中、涙を流し激しくせき込みながら、クモの子を散らすように逃げ出した。

 夕方、盾やガスマスクなど厳重な装備を着けた警官が集結。議会周辺の強制排除に乗り出し、催涙弾を乱発しながらデモ隊を追い立てた。2014年の大規模デモ「雨傘運動」を象徴する傘をさしたまま逃げる人もいた。

 催涙弾の発射は「雨傘運動」以来で、市民や民主派らが強く反発するのは確実。香港では9日に103万人(主催者発表)の大規模デモが起きたばかりで緊張が高まっており、さらなる衝突が起きる懸念も強まっている。