廃線マニア落胆 日本最後の産業用「索道」が解体

2019年05月23日 07時30分

日本最後の産業用索道が解体された

 廃線マニアや懐古マニアから落胆の声が漏れている。日本最後の産業用の「索道」がとうとう消えてしまったからだ。日立セメント株式会社(本社・茨城県日立市)の太平田鉱山の架空索道だ。

 索道とは、空中に渡したロープに輸送用機器をつり下げて、人や貨物を乗せて輸送を行う交通機関のことを指す。ロープウエーやゴンドラリフト、スキー場などのリフトなどもこれにあたる。

 日立セメントでは1937年から、索道を使って鉱石などを運搬していた。山の中から掘り起こされたセメントの原料である石灰石を工場に搬出するために使われていた。貯石場までの距離は約4キロだ。

 運用は3月末で終わり、ゴールデンウイーク前には、ゴンドラも取り外されてしまった。同社では、石灰石自体の搬出も昨年度で終了している。3月には、最後の姿をカメラに収めるために廃線マニアや懐古マニアの姿があった。

 埼玉県在住の廃線マニアの男性(60)は「廃線跡や鉄道の設備関係が好きで日本中を回っています。日立セメントの架空索道は、とても貴重なものでした。なくなってしまって残念です。今年に入ってから何度も通って写真を撮りました。日立では、地元のマニアの方とも回りました。ポイントポイントで石灰石を運んでいるところを映像に収めることができました。ゴールデンウイークに見た光景は、私たちを落胆させました。ゴンドラが取り外されていたからです」と語る。

 廃線マニアや懐古マニアからすると、索道というのは、とても愛嬌のあるものだという。

 あるマニアは「ゴンドラが真上を走り抜けていくときは、シュィィィ~ンという耳ざわりのいい音を響かせてくれるし、何らかの作業でゴンドラがピタッと止まったときはおとなしくしている。これがたまらないのです」と言う。

 索道は、廃線跡とはちょっと違った趣があったようだ。