金正男氏暗殺の実行犯がまさかの「女優」宣言 “スター気取り”でベトナム帰国

2019年05月09日 16時00分

グラサンを取るとこんな顔(ロイター)

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏暗殺事件(おととし2月)で、傷害罪で有罪判決を受けた実行犯のベトナム女性ドアン・ティ・フオンさん(30)がさる3日、現地マレーシアの刑務所で刑期を終え出所。翌4日に帰国したが、首都ハノイのノイバイ空港ロビーに現れたそのいでたちに、誰もが仰天した。

「東南アジアはいま最も暑い季節。なのに彼女はなぜか毛皮のコートをまとい、黒のハイヒールを履き、サングラス姿で大集結した報道陣に手を振り、優雅に笑顔を振りまいた。警察にガードされ、マレーシアから付き添ってきたベトナムの外交関係者たちを従え、ほとんどスターか女王様気分」(ホーチミン在住記者)

 フオンさんはその足で、ベトナム北部ナムディン省の自宅へ帰郷。110キロほどの道のりを無数の報道車両が追跡し、さながら大名行列かという騒ぎだった。それを知った地元民たちはSNSで「仮にも人が亡くなった事件の当事者だという自覚があるのか」「その派手な格好はなんだ? お前は犯人だったんだろ」などと猛非難。

 さらにフオンさん、事件については口を閉ざす一方で、「将来は女優になりたいです! 今度は女優としてマレーシアに行けたらいいな。この事件は私が有名になるきっかけかも」と発言し、ベトナム世論は大炎上。物議を醸している。

 フオンさんはもともと芸能人志向が強く、歌手のオーディション番組に出演したこともある。また自身のフェイスブックに水着姿やコスプレ写真をアップするなど、ネットアイドル的な活動もしていた。マレーシアでの逮捕時も、職業を聞かれ「女優です」と答えた。北朝鮮の正男氏暗殺グループは、そんな素性をリサーチした上でフオンさんを「ドッキリ番組」だとだまし、正男氏に猛毒のVXを浴びせるよう指示したとみられている。

 バッシングの一方で、「誰にだって夢を追う権利はある」と同情の声も男性を中心に増えている。それもそのはず。自ら公開した水着姿を見るかぎり、フオンさんは豊満バストがあふれんばかりのムッチリボディー。過去には「ゲームに負けたらキス」というネット番組に出演し、なまめかしいボディコン姿で男性と唇を重ねている。芸能界入りしたら、もっと過激な格好や活動が期待できるだろう。

 事件そのものは「これで迷宮入り」という意見が大勢を占める。もう1人の実行犯であるインドネシア女性シティ・アイシャさん(27)もすでに釈放され、北朝鮮の黒幕メンバーたちもとっくにマレーシアから北朝鮮へ帰国済み。米朝の融和プロセスが進む中、外交上支障となるこの事件は「なかったこと」とされる公算が大きい。

 北朝鮮とアジア諸国の複雑な事情から極刑を免れ、自由の身となった女実行犯コンビ。かん口令が敷かれているようだが、何かとお騒がせなフオンさんだけに今後の“ポロリ”はあるかもしれない。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「おとなの青春旅行」(講談社現代新書)