長期固定金利型住宅ローン「フラット35」が、不動産投資目的で不正利用された疑いがある問題で、住宅金融支援機構は8日、他の融資でも不正がなかったかどうかを調査する方針を明らかにした。

 今回、フラット35の融資でマンション投資に勧誘されたのは低所得者層の若者たちだ。昨年、シェアハウス「かぼちゃの馬車」をめぐってスルガ銀行が不正融資を行っていたことが明らかになって以来、金融庁が調査に乗り出したほか、各金融機関の投資用不動産ローンの審査が厳格化。自己資金を持たない低所得者層はローンが組めないケースが多発していた。

 そこで目をつけられたのが、以前から不動産関係者の間で「とにかく条件が緩い」と言われていた国交省が所管する住宅金融支援機構のフラット35だった。

「本来、住宅ローンで取得した物件を賃貸に出すのはご法度。しかし、メガバンクが投資用不動産ローンを組んだ顧客の表札や郵便物をチェックして居住の確認までするのに対して、フラット35は代理店も機構もほぼ追わない。さらにメガバンクよりも多く借りられるから、年収200万でも2000万台のワンルームマンションに手が届くことになる」(不動産関係者)

 さらにフラット35で物件価格以上の融資を受け、意図的にオーバーローンにすることで、借金の肩代わりも行われていた。

「たとえば中古マンションを購入し、居住する前にリフォームすることにして、フラット35(リフォーム一体型)を借りる。実際にはクロス張り替え(50万円程度)しかリフォームしないのに、水回り(150万円程度)もしたことにすれば、ふかした(上乗せした)150万を他の借金の返済に充てられる」

 不動産業者が行う投資セミナーでは「将来は不労所得で暮らせるようになる」などと聞こえの良い言葉で、投資用マンションを売りさばいているが、投資の過熱とともに物件価格も上がり、利回りは低下中だ。

 不正が次々と明らかになって、“日本版サブプライムローン問題”とならなければいいが…。