英国のジャビド内相は11日、ロンドンのエクアドル大使館に約7年籠城していた内部告発サイト「ウィキリークス」創設者ジュリアン・アサンジ容疑者(47)の逮捕手続きについて「大使の正式な要請や、(外国公館の不可侵を定めた)外交関係に関するウィーン条約に従い執行された」と述べ、合法性を強調した。国際人権団体などから逮捕への批判が上がっており、国内外の世論を意識しているとみられる。

 アサンジ容疑者は2010年、ウィキリークスを通じて米軍などに関する米公電を暴露。16年の米大統領選でも、ロシア情報機関がサイバー攻撃で入手したとされる民主党候補クリントン陣営の大量のメールを暴露しており、米当局が身柄の引き渡しを求めている。

 これに対しアサンジ容疑者は、米国に身柄を引き渡されたら死刑に処せられる可能性もあるとの懸念を表明。同容疑者はスウェーデンでも性的暴行の疑いにより10年に英国で逮捕されたが、保釈中の12年にエクアドル大使館に逃げ込んだ。

 今回の逮捕は、保釈中に裁判所に出廷しなかった疑いに加え、米国への身柄引き渡し令状に基づきロンドン警視庁により行われた。

 大使館は治外法権で、これまで英当局も手が出せなかった。同警視庁によると、エクアドル政府が同容疑者の亡命受け入れを撤回し、同国の駐英大使の要請があったため館内に入ったという。17年には同国の国籍も付与したエクアドル政府だが、同容疑者との関係が悪化し、退去を求めていた。

 ジャビド内相は英下院で、警察が逮捕後まずアサンジ容疑者が身柄拘束に耐えられるかどうか体調面を調べたとし、健康状態に配慮したことを強調。拘束中も医療態勢を整えているとした。 

 英メディアによると、5月2日に引き渡しに関する審理が開かれる。同容疑者の弁護士らは司法の場で争う構えを表明。弁護士のロビンソン氏は今回の逮捕は、報道機関にとっても「危険な前例となる」と警告。ウィキリークスの編集責任者、フラフンソン氏も「ジャーナリズムにとって暗黒の日だ」と指摘した。