ブラックホール輪郭の撮影に成功 歴史的快挙にノーベル賞級の声

2019年04月11日 16時00分

 アインシュタインが理論でその存在を示してから約100年、ブラックホールがその丸い輪郭を初めて人類の前にさらした。日本などの国際チームが、輪郭を撮影することに史上初めて成功したと10日に発表。専門家から「ノーベル賞級」との声も上がった。

「これが人類が初めて目にしたブラックホールの姿。たった1枚の写真だが、非常に大きな意味を持った1枚です」

 高温のガスやちりが放つ直径1000億キロの円形の光を背景に、ブラックホールが黒く浮かび上がった画像。発表会見に登壇した国立天文台の本間希樹教授は、1969年にアポロ11号が月面に着陸した際に米宇宙飛行士が語った「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ」になぞらえて紹介した。

 撮影されたのは、地球から約5500万光年離れたおとめ座のM87銀河の中心にある超巨大ブラックホールの輪郭。国際チームは日本などが運用する南米チリのアルマ望遠鏡や欧州、南極など6か所の望遠鏡を組み合わせ、直径1万キロと地球サイズの仮想的な電波望遠鏡を作製し、極めて高い解像度での観測を実現した。

 ブラックホールは恒星の残骸など大量の物質が圧縮され、強い重力を持つ天体。吸い込まれるガスなどが出すエックス線を観測した例はあるが、光さえ逃れられない「黒い穴」を初めて直接捉えた。

 観測には国立天文台水沢VLBI観測所(岩手)や東北大、広島大に加え、欧米などから200人以上の研究者が参加した。

 撮影はアインシュタインの一般相対性理論を裏付けた形で、松岡良樹愛媛大准教授(天文学)は「ブラックホールの間接的な証拠はあったが、自分の目で見る日が来るとは思っていなかった」とコメント。谷口義明放送大教授(銀河天文学)は「ずっとあると言われながら誰も見ていなかったものを初めて視覚的に捉えた。間違いなくノーベル賞級と言っていい」とたたえた。