ゴーン妻にも検察“恥辱”仕打ち 家宅捜索でキャロル夫人のパスポート、スマホも押収

2019年04月05日 16時00分

再び拘置所に入るゴーン被告。右は妻キャロルさん(ロイター)

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(65)が4日、4度目の逮捕となり再び東京拘置所暮らしを余儀なくされた。保釈中の被告が再逮捕されるのは異例中の異例で、弁護人の弘中惇一郎弁護士は「(検察の)暴挙だ!!」と猛批判。ゴーン被告だけでなく、妻も食らった屈辱の仕打ちとは――。

 逮捕容疑とされる新たな特別背任は“オマーンルート”と言われる日産の中東オマーンにある販売代理店に支出された資金の私的流用で、日産に約5億6300万円の損害を与えた疑いが持たれている。

 逮捕を受けて日本外国特派員協会で緊急会見した弘中弁護士は「罪証隠滅の恐れがないから保釈が認められたワケで、捜査を進めるのに身柄をとる必要はない。追起訴の可能性はあるかもしれないが、よもや逮捕とは予想していなかった。11日に会見を予定していたが、口封じだ!」と怒りを爆発させた。

 金融商品取引法違反や会社法違反(特別背任)の疑いで3度逮捕されたゴーン被告は、先月6日に保釈が認められ、監視カメラの設置などの条件付きながらも都内のマンションで暮らし、妻のキャロルさんとともに外食したり新宿御苑を散策するなど、比較的自由な生活を送っていた。

 ところがそれもつかの間、週2回しか風呂に入れず、3食麦飯で、連日取り調べを受ける拘置所生活に引き戻された。恒例の“身体検査”も再び行われたとみられる。

「一度、外に出ていたので当然、勾留時は身体的特徴や持病の有無、不審物を持ち込んでいないか、全裸になって体中をくまなくチェックします。ゴーンほどの有名人ですから、肛門の中にまで指を突っ込むことはもうないと思いますが、一通りのチェックはされたでしょう」(警察関係者)

 1月に行われた勾留理由開示の法廷にゴーン被告が手錠と腰縄をつけられ、入廷した姿を見た欧米メディアの中には「経済事犯にもかかわらず手錠をかけるとはおぞましい」と悲鳴も上がっていたが、再度の身体検査が行われたことを知れば、人権無視との批判が高まる可能性もある。

 屈辱を受けたのはゴーン被告だけでない。この日の朝、特捜部はゴーン被告に任意同行を求めるとともに自宅を捜索。本人の携帯電話や裁判資料、メモ書きなどを押収しただけでなく、キャロルさんのスマホやパスポートなど私物も押収した。

 家宅捜索には、保釈後の約1か月の間に、ゴーン夫妻が証拠隠滅のため外部と連絡を取った痕跡を探る狙いがあるとみられる。オマーンルートでは、前出の代理店に支出された資金の一部が、キャロルさんが代表を務める会社に流れ、クルーザー(約16億円)の購入代金に充てられた疑いもあり、家宅捜索から解明につながる可能性もある。

 キャロルさんは、よもや自身の私物までが捜査対象になるとは、つゆほども思っていなかったようだ。弘中弁護士によればキャロルさんは強いショックを受けているという。

 ゴーン被告とキャロルさんは2016年に結婚したばかりで、こんな観測もある。

 前出の警察関係者は「スマホや携帯は個人情報の塊。キャロルさんがどのサイトにアクセスし、何を調べたかの履歴も分かる。また、他人には見られたくない画像やプライベートな自撮り画像や動画があったかもしれません。特捜部は当然、チェックし、知ったとしても、よもや外部に流出させることはないでしょうが、押収された側からすれば気が気でないでしょう」と話す。

 弘中弁護士は「奥さんの電話の中には、プライベートや彼女の弁護士とかの記録がある。一切、閲覧の対象にしないよう申し入れした。(携帯の押収が今回の逮捕の)一つの目的だったのではないかと考えざるを得ない。文明国としては、あってはならない暴挙」と怒りをにじませたが、後の祭りだ。

 4度目の逮捕で、ゴーン被告の裁判は来月、公判前整理手続きが行われる予定だったが、先送りされ、長期化が予想される。