ゴーン4度目逮捕は会見潰し!? ツイッター開設し11日“反撃”予告していたが

2019年04月04日 16時00分

東京拘置所に入るゴーン被告を乗せたとみられる車(ロイター)

 会見は消滅か。金融商品取引法違反と会社法違反(特別背任)の罪で起訴された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(65)が4日朝、中東オマーンの販売代理店側に支出された日産の資金を私的流用した疑いが強まったとして、東京地検特捜部に再逮捕された。逮捕は4回目。特捜部によると、同社資金を不正流用し、約5億6000万円の損害を与えた疑いが持たれている。ゴーン被告は11日に会見する意向をツイッターで明らかにしていたが、開催は絶望的になった。

 昨年11月に逮捕され、3月6日に保釈。都内で家族と暮らしていたゴーン被告に再び特捜部が切り込んだ。4日朝、同被告の居宅を捜査員が訪れて任意同行。その後、再逮捕した。

 関係者によると、オマーンの代理店には2012年以降、日産の最高経営責任者(CEO)だったゴーン被告が使途を決めていた「CEO積立金」から、毎年数億円、計約35億円が奨励金名目で支払われていた。

 この代理店幹部が銀行に開設した個人口座から、自身が代表を務めるレバノンの投資会社を通じてゴーン被告の妻が代表の会社に資金が流れ、一部がクルーザー(約16億円)の購入代金に充てられた疑いが浮上している。クルーザーは「社長号」と名付けられ、家族らが使っていたという。

「オマーンルート」とも呼ばれる、新たな容疑の舞台。それにしても、起訴後に保釈され公判に備えている最中の被告を再逮捕するのは異例だ。追起訴でなく身柄まで取るのは特捜部側の凄まじい執念ともいえるが、ゴーン被告側が招いたタネとも言える。

 ゴーン被告は当初、元同特捜部長の大鶴基成氏を弁護人に起用したが、保釈を得られなかったことでクビを切り、“無罪請負人”の異名を持つ弘中惇一郎弁護士らのチームに切り替え、戦術を大きく変えた。

 弘中氏は世論を味方につけるために積極的にメディアに対応し、日本外国特派員協会では2度にわたって会見。2日の会見では捜査に全面協力している日産との公判は分離するよう求めたほか、裁判官の名前を明らかにしたり、「検察は情報を歪めた形でリークして、被告人に不利な世論をつくる」と検察批判も繰り返していた。

 さらにゴーン被告はツイッターを開設し、11日に会見を予告。5月23日に予定される1回目の公判前整理手続きを前に反撃態勢を整えるゴーン被告側を、検察が苦々しく思っていても不思議ではない。身柄を再び押さえることで、11日の会見も封じることになる。弘中氏は「73歳になったが、まだカミソリの切れ味があるかどうか試してみたい」と意気込んでいたが、切れ味が鋭すぎて、逆に自分たちも切ってしまったとも言える。

 一方、株式アナリストは「ゴーンはガバナンス改革のいけにえになった」と指摘する。親子上場している企業グループのガバナンス(企業統治)に問題があるとして、日本は国際的な批判を浴びている。政府は社外取締役に親会社出身を選ばないことや社外取締役の比率を3分の1以上まで高めることなどを取りまとめ、経産省が6月にも指針を策定する流れになっている。

「ゴーンもルノーと日産でトップに立つ親子上場状態だったワケで結局、ガバナンスが利かない、やりたい放題になっていた。日本は経営者天国で、日産に限らず、同じようなことをしていても取り締まられることもほとんどなかった。ゴーンの事件で一罰百戒とすることで、国際的にもガバナンス強化していることをアピールしたい。なんとか有罪かつ実刑にしたいから、特捜部も熱が入っているのでは」(同アナリスト)

 日産が大株主で企業連合を組むルノーに経営統合されないための国策捜査ともいわれたゴーン被告の逮捕劇だが、政府がガバナンス強化のために同被告を見せしめにしているとすれば、4度目の逮捕に踏み切ったのもうなずけるワケだ。