B―52爆撃機の威嚇飛行で朝鮮半島クライシス突入

2019年03月27日 07時15分

朝鮮半島のトップ2人・金正恩氏(右)と文在寅氏の運命は…(ロイター)

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と、韓国の文在寅大統領が土俵際に追い込まれた。先月末の米朝首脳会談が事実上、決裂して以降も米トランプ大統領は表向きは交渉継続としているが、今月に入り、朝鮮半島では核兵器搭載可能のB―52爆撃機が威嚇飛行をしている。ロシアをも巻き込んで朝鮮半島はいま、極度の緊張状態に陥っている。

 北朝鮮は同国・開城の南北共同連絡事務所から一方的に22日、撤収を通告。人員も引き揚げたが、25日には一部復帰したと韓国側が明らかにした。

 韓国紙「中央日報」は撤収当時「自由韓国党の黄教安代表は『惨憺たる結果。これが現政権が北朝鮮にあれほど心を込めた結果なのか』と話した」と報じた。親北の文政権があれほど蜜月をアピールしてきたのはなんだったのか。

 北朝鮮事情に詳しい拓殖大学主任研究員で元韓国国防省北朝鮮分析官の高永チョル氏は「安全保障や軍事専門家の間では、朝鮮半島情勢はリスク段階を超え、クライシスに突入している認識です」と指摘する。核兵器の全面廃棄を拒む北朝鮮に、米トランプ大統領は「急いでいない」と言ってはいるが実際は違った。

 B―52爆撃機の編隊が15日、北朝鮮とロシアの国境4か所付近で威嚇飛行した。北朝鮮はもちろん、これには5月にも正恩氏が訪問するといわれるロシアも泡を食った。

 高氏は「B―52は核兵器を投下する戦略爆撃機ですから、相当な恐怖心を与えたはず。ロシアは北朝鮮のバックにいる。今後、北朝鮮に軍事的な圧力を強めるから、ロシアが干渉したり妨害したりするのはやめてほしいという一つのメッセージでしょう」と指摘する。

 19日もB―52爆撃機はカムチャツカ半島付近を訓練と称して飛行したが、それだけではない。

「U2偵察機、高高度無人偵察機RQ―4グローバル・ホーク、E―3早期警戒管制機がたびたび半島付近を警戒し、1隻の原子力潜水艦が佐世保基地を出港し、韓国の黄海(西海)近辺に移動しているとの情報もある。特殊部隊デルタフォース、海軍特殊部隊シールズ、CIA暗殺部隊などの特別飛行機も見つかっています」(高氏)

 つまり、米朝首脳会談前の緊張状態に戻ったともいえる。トランプ氏は来秋の米大統領選を前に人気取りのため、北朝鮮空爆に踏み切る可能性がささやかれている。

「来年9~10月が一番良いタイミングだが、今回のような軍事的圧力を前倒ししているのは、米タカ派の政策提言を受けてでしょう。金正恩暗殺の斬首作戦も視野に入れ、北朝鮮が反発、挑発したら待ったなしで攻撃するでしょう」(高氏)

 正恩氏が核廃棄に踏み切れば軍部タカ派のクーデターが起きかねず、正恩氏が亡命する可能性も出てきているという。

 一方、ノンキなのが文大統領だ。就任後、北朝鮮側にすり寄り、南北首脳会談、米朝首脳会談こそ実現したが、口先だけだったことを露呈した。

「結局、文氏はトランプをだまし、金正恩をだまし、韓国国民をだましたのです。先日、文氏はカンボジアを訪問し『内戦を収めたノウハウを学びたい』と発言し、がくぜんとさせました。韓国では親北の文政権に右派の声が上がっている中、文氏の発言は右派と左派の内戦を促すものと反発を買っていますよ」(高氏)

 韓国の複数の世論調査で文政権の支持率は過去最低の44~45%を示した。「世論調査するメディアも買収され、本当のことを言わない。実際の支持率は15%以下では。年内にも文氏は弾劾を受ける可能性が高く、暗殺される恐れも。それほど国民感情は悪い」(高氏)

 朝鮮半島のトップ2人の運命はいかに――。