自身経営の飲食店内で10代後半の女性従業員Aさんを睡眠薬で眠らせ、抵抗できない状態でわいせつな行為をしたとして準強制わいせつ罪に問われた57歳の男(57)の裁判が18日、東京地裁であり、検察は懲役3年6月を求刑した。

 起訴状によると、昨年7月、経営する大田区内の飲食店内で、従業員Aさんに睡眠薬入りの酒などを飲ませてわいせつな行為をした2件の事実で起訴されている。意識がハッキリしないAさんを全裸にして、携帯電話で裸体と性器を撮影。膣内に指を挿入した。また、別の機会にも陰毛を剃るなどした。弁護側は事実関係をすべて認めている。

 被告人質問では、実際に逮捕されるまで「訴えられないと思っていた」と安易な考えを告白。動機は明らかに性的な欲求であるにもかかわらず「間違った正義感からやったことだった」と意味不明な釈明をした。Aさんには酒癖の悪いところがあったらしい。その素行を注意しても改善されないことから犯行に及んだと主張して「やり方を間違えた。もっと違う方法で諭すべきだった」とも語る。裸にむいて毛を剃ったり写真を撮ったりする行為に「正義感」があったとは理解し難い。

 また、全裸撮影の際に記憶喪失していた女性が目を覚ましてから、裸の写真を見せて「酔って自分で服を脱いでいた」とうそを告げた。かみそりで陰毛を剃っている写真を目にしたAさんは「体に力が入らず、どうすることもできなかった」と話している。

 被告は後に、剃った陰毛をわざわざ見せつけてきたばかりか、陰部の拡大画像をAさんの知人に勝手に見せてもいる。Aさんには性的に興奮させる媚薬も飲ませようとしていた。

 店は廃業し、職を失ったAさんには知り合いの仕事を紹介した。被告は「今後も飲食店をやろうと考えてます」と言うが、検察は「店をやるとまた同じことをやらないか気になる」と警戒感をあらわにした。