日本中央競馬会のレジェンド・武豊騎手(49)の親戚をかたって「間違いなく勝つ」などとウソをつき、架空のレースの馬券代を詐取したとして、京都府警東山署は13日までに詐欺の疑いで住所不定、無職の菊本輝明容疑者(72)を逮捕した。

 逮捕容疑は1月8日、調教師になりすまし、京都市東山区のすし店を訪れ「単勝300円やけど、12日の東京競馬場のレースで武豊騎手が乗るメジロカムイが間違いなく勝つ。(代理で)馬券を買ったる。いくら持ってる?」などと偽り、板前の男性(50)から2万円をだまし取った疑い。同署によると、菊本容疑者は日本中央競馬会の調教師と書かれた名刺を手渡し「武騎手の親戚」と伝えていた。男性が調べたところ、該当するレースがなく、署に相談。同容疑者が兵庫県内のビジネスホテルに宿泊していることを突き止め逮捕した。逮捕時はスーツケース2つを抱え、身なりもきちんとしていたという。同署の管轄内では、1月8日から2月下旬にかけ、同様の被害が数件報告されており、同容疑者は「間違いありません。他にもやってます」と容疑を認めているという。

 捜査関係者は「名刺の武○○さんは元調教師で、実際に武騎手のお父さん(邦彦氏=故人)と○○さんはいとこだそうだが、菊本とは全く面識も関係もない。○○さんが75歳、菊本は72歳と年齢が近いだけで顔も全く似ていない。被害者はそれほど競馬に詳しくなく、武という名字でだまされたようだ」と明かす。

 菊本容疑者が持ち出した「メジロカムイ」は15年前に引退。地方競馬で走っていたため、武騎手が騎乗した事実もない。詐欺を働くには突っ込みどころ満載の手口だが、捜査関係者は「菊本は過去にも全国で同様の手口を用いて、逮捕されている。昔の記憶や知識でやったら成功したので、繰り返したのだろう」とあきれた。