フランスの英雄をイメージした!?

“作業員ゴーン”の反響は広まるばかりだ。6日に東京拘置所から保釈された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告(64)。出てくる時の作業員姿は海外でも大きな話題となっている。

 ニューヨーク・タイムズ電子版は「ゴーン前会長の服装は交通指導員の制服のようで、彼を何時間も待っていた国内外の大勢のリポーターからこっそり抜け出そうとした」と報道。海外では保釈時に変装するのは「あり得ない」ことで、驚きを持って伝えられている。

 興味深いのは、母国フランスの有力紙フィガロ。電子版で次のように報じている。

「ゴーン前会長が思いついたのは、ナポレオン3世が脱出する時に、労働者から服を借りたことだった」

 これは後にナポレオン3世となるルイ・ナポレオンが1846年に、労働者から服を借りて収監先から脱出したというエピソードをなぞったもの。“ゴーン=ナポレオン3世”とでもいうのか。

 そんな中、被告の弁護を担当する弘中惇一郎氏が7日、変装の意図について説明。作業着を被告に勧めたのは弁護団の1人で、ゴーン被告も「結構面白がっていた」という。

 弘中氏は「庶民的というか、ユーモラスというか。弁護士の作戦に乗るのも、ありかなと思っています」とフォローしつつも「思った以上のメディアの取材力、拘置所の職員の方がゾロゾロ動いたり、その辺が想定外だったみたいです。うまくいかなかったということのようです」と苦笑いを浮かべながら、作戦失敗を認めた。

 今後の焦点はゴーン被告の記者会見。保釈後すぐに行うという情報もあったが、弘中氏は「気力が充実した時点でやるのがいい。まだ体力も戻ってない時にやるのは良くない」と述べた上で、来週以降になるとの見方を示した。今度はどんな服装で会見場に現れるのか。