フランスでシャネルのデザイナーの遺産 “猫が220億円相続”日本では可能?

2019年02月21日 17時00分

ラガーフェルド氏とシュペット(シュペットのインスタグラム=@choupettesdiaryから)

 巨額遺産を動物が“相続”できるのか。「モードの帝王」と呼ばれ、経営危機にあった高級ブランド「シャネル」を救ったデザイナーが残した約220億円の財産の行方が世界的に注目されている。19日にフランス・パリで亡くなったファッションデザイナーのカール・ラガーフェルド氏(享年85)。シャネルなどを手がけた同氏の遺産を愛猫「シュペット」が相続する可能性が報じられたが、「猫に小判」ならぬ「猫に220億円」…そんなことが実際にあり得るのか――。

 現地報道によれば、ラガーフェルド氏は先月にパリで開催された「シャネル」春夏オートクチュール・コレクションショーを欠席し業界関係者を驚かせた後、今月18日夜にパリ近郊の病院に救急入院。19日に息を引き取った。詳しい死因は不明。数週間前から体調を崩していたとされる。

 ラガーフェルド氏は1933年、ドイツ北部ハンブルク生まれ。65年からイタリアの有名ブランド・フェンディのデザイナーを務めた。シャネルは創業者ココ・シャネル氏(享年87)が71年に死去すると低迷期を迎えたが、83年にラガーフェルド氏がアーティスティックディレクターに就任し、イメージを刷新。経営危機から復活させ、同氏は「モードの帝王」と呼ばれた。その遺産は約220億円とも言われている。

 私生活では、白い長毛のメス猫・シュペットを溺愛し、餌は銀の皿で高級食材のキャビアなどが与えられていた。現在8歳のこの猫は日本の化粧品ブランドなどの広告塔を務めたこともあり、推定約3億5000万円は稼いでいると報じられた。シュペットには専属ボディーガード1人と世話役2人が付いている。

 ラガーフェルド氏は生前、フランスのテレビ局のインタビューで、シュペットについて「リッチな私の娘。自分の財産もある」と言い、遺言書にその名前を記載したことをにおわす発言もしていた。

 フランスの法律では、遺産相続は妻と子供が優先されるが、ラガーフェルド氏には子供もパートナーもいない。つまり、遺産220億円の行き場がなくなるわけだ。そうなると、シュペットに遺産が渡るのか。しかし、同国の法律上は遺産を猫に相続させることはできないことになっている。

 日本でも昨年、謎の死を遂げた“紀州のドン・ファン”こと和歌山の資産家・野崎幸助さん(享年77)が、「自分の遺産は犬に相続させる」と愛犬「イブ」について語っていたなどと噂された。そのイブは死んだが、日本ではペットに遺産を相続させることはできるのか。

 姫路法務行政書士事務所の所長・橋正人氏は「ペットに意思はなく、モノとして扱われる。人以外に遺産の相続はできないので、モノに対しての相続は発生しない。しかし、身の回りでペットの面倒を見てくれる信用できる人に、予防接種などの費用の対価として財産の一部を贈ることを遺言書に残すことはできます。相続が優先される妻や子供ではない人ならば、愛人へ贈ることを遺言するとか」と語る。

 実際、予防接種に限らずペットのためのお金を第三者に託す「ペット信託契約」も行われている。

 ラガーフェルド氏のケースでは、猫のボディーガードと世話役が遺産を受け取る権利を得られるのか。「ボディーガードとなると、カネで雇われて働いているわけです。遺言書に記載するならもっと信用できる人がいいのでは」(橋所長)
 遺産をめぐっては、生前ラガーフェルド氏が気に入っていた米男性モデルのブラッド・クローニグの息子のハドソンくん(10)が相続するのでは?との声も出ている。

 ハドソンくんは、3歳のころからシャネルなどのショーモデルとして活躍し、ラガーフェルド氏が後見人をしていたこともあるからだ。愛猫か、それとも少年か。220億円はどこに行くのか――。