【愛知の奇祭】巨大松明と格闘する「鳥羽の火祭り」

2019年02月19日 08時00分

鳥羽の火祭り

 奇祭中の奇祭である「鳥羽の火祭り」が先日、愛知県西尾市鳥羽町にある鳥羽神明社(とばしんめいしゃ)で行われた。

 自らの命を顧みることもなく、燃え盛る巨大な松明(たいまつ)に挑んでいく男たちの使命はただひとつ。神殿に祭るための「神木」と「十二縄(じゅうになわ)」を取り出すことだ。

 男たちは大松明「すずみ」の中に納められている神木と十二縄を引き抜くためにハシゴを駆け上り、激しく燃え盛っている、すずみを激しく揺さぶる。しかし、神木と十二縄はなかなか取り出すことができない。

 境内に設置されている、すずみの高さは5メートル、重さ2トンもある。ある中年の男性は「腕をやられた…」とつぶやくと、うつぶせになったまま動かなくなった。衣服は焼けただれており、皮膚もかなりむけていた、顔一面はススだらけだ。即座にバケツの水がかけられたが、しばらく起き上がることはできなかった。

 火祭りの正式名称は「鳥羽大篝火(とばだいかがりび)」という。その起源は約1200年前とされている。神木と十二縄の取り出され方によって、その年の天候や豊作、不作が占われる。毎年、旧暦の1月7日(現在は2月第2日曜日)に行われている。

 この祭りで最も重要な役は、「神男(しんおとこ)」だ。何が何でも神前に神木と十二縄を祭らなければならない。選任されるのも大変難しく、25歳の時に、たった一度しかチャンスがない。神男は毎年、2人が選任される。鳥羽神明社の西側にある宮西川を境として、東西の地区に分けて、西を「福地(ふくじ)」、東を「乾地(かんじ)」と呼び、前者から120人。後者から80人の男たちが参加する。福地、乾地から1人ずつ神男が出る。

 男たちは真っ赤に燃え盛る、すずみに果敢に挑んでいく。格闘は30分余り続く。なんとか、神木と十二縄を松明の中から取り出すことができた。神前にこの2つを祭り終わると、全員が集まってねぎらいの言葉をかけ合っていた。