タイ・バンコクの大気汚染深刻 失笑買った当局の泥縄パフォーマンス

2019年02月07日 17時30分

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】中国では旧正月(春節)を迎え、4日から大型連休に突入。過去最大の約4億人が国内外を旅行するが、中国人が殺到するタイ・バンコクがとんでもない事態になっている。

「体に悪影響を及ぼすPM2・5(微小粒子状物質)の濃度が昨年末から高くなった。最近は基準値を大きく上回る日が増え、1月31日から2日間、日本人学校を含む437校が休校に。『大気汚染の本場・中国から観光客とともに流れてきた』なんて冗談も通じない」(現地在住日本人)

 この時期のタイは例年、カラッと澄んだ青空が広がり過ごしやすい天気なのに「今年は雲が低く厚く、大気がよどんでる。空気が流れず、まとわりつくような暑さ」(同)で、外気に当たると30分ほどで目や喉が痛くなるという。

 市民はマスクを買いに走る。特に粒子の捕集効率が高いタイプが人気だが、品薄状態。値段が暴騰し、通常100~200円のマスクが3~4倍の値段で売られている。

「会社でマスクを支給している日本企業もあるが、普通のマスクを2枚重ねにする人も。偽物が出回り、盗難も増え、ネット上では高額で売る悪質業者もいる。当局は摘発を進める一方『マスクの増産は進んでいるから大丈夫』と呼び掛けるが、転売や高騰は止まらない」と現地日本人。

 ビザ緩和で日本は近年タイ富裕層の人気渡航先だが「日本土産はマスク。立体型、蒸れ防止、子供用と種類も多いから、家族や友人に配るため買い込むつもり」というタイ人観光客も多い。

 現地在住の子供がいる日本人家庭では、空気清浄機を買い求めているが、品薄で「SNSでは扇風機と市販のフィルターを使って自家製空気清浄機を作ろうという投稿がシェアされている」(駐在員)。

 当局の汚染対策は「小さなドローンに水を積んで散布したり、ふだんは沿道の植物に水をまく車がホースを上空に向けてたり、ほとんど意味のないパフォーマンスばかり」(地元住民)というお粗末さだ。また、汚染値を測るモニタリングポストに散水し、数値を下げている様子を地元紙が報じ、失笑を買った。

 外観が崩れかかったようだと話題のタイ一高いビル「マハナコン」は、最上階に昨秋開業した展望台でエレベーターが1~2時間待ちの最旬スポットだったが、今や景色も何もあったもんじゃない。春節休暇が終わればPM2・5も中国人と一緒に去ってくれるはずもなく、大気が洗われる4月の雨期まで汚染は続く可能性が指摘されている。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「おとなの青春旅行」(講談社現代新書)。