赤字発覚でもめた徳島市の阿波おどり 今年はどうなる?

2019年02月05日 17時00分

 赤字運営が招いた混乱で、昨年はモメにモメた徳島市の阿波おどり(毎年8月)。健全運営に向けた有識者会議による最終提言が先月まとめられ、今後の方針が近く決まる見通しだ。前回の市長選を発端とする“現市長VS反市長派の戦い”の舞台となった阿波おどりの「総踊り」中止騒動は、決着するのか…。

 阿波おどりは長年、「徳島市観光協会」(破産手続き中)と「徳島新聞社」が共催してきた祭りだが、観光協会は4億円もの累積赤字を抱えた。

 黒字化を目指す遠藤彰良市長は観光協会の破産手続きに踏み切り、昨夏には観光協会に代わって、2018年4月に市長を代表とする「阿波おどり実行委員会」が発足し運営を仕切った。しかし、十数の有名連(踊りのグループ)を抱える「阿波おどり振興協会」(山田実理事長)は、実行委の演出変更に反発し、中止とされていた総踊り(1000人以上の一斉踊り)を強行したのだった。

 祭りの終了後、市長は「今年(の市長の陣頭指揮)は緊急避難という形」として体制の変更に言及していた。市が運営主体とならず、商工会などが引っ張る各地方の祭りを引き合いに、民営化と財政の透明化を目指した。そして、昨年9月末から事業検証を続けてきた有識者会議の提言が1月23日にまとまって、翌24日、市長に提出された。市長の代表解任を含め、実行委は5日にも受け入れるとみられる。

 提言では、踊り手の参加費の変更も明示。東京・高円寺や埼玉・南越谷の阿波おどりでは、踊り手が参加賞を出して参加する。一方、徳島では有名連に出演料を出して踊ってもらっていた。「利権化しやすいのがどちらかは明らかだ。変更は健全な判断」(地元関係者)

“市長VS振興協会・観光協会”による泥沼の戦い。この図式は数多く報じられてきたものだ。地元でも混乱の発端は、16年の市長選にあると目されている。

 遠藤市長は前職の原秀樹氏に挑み、下馬評を覆して勝利した。原陣営を応援したのは振興協会顧問の岡孝治市議と、選対本部長を務めた観光協会会長(当時)K氏。今の阿波おどり騒動に見えてくるのは、選挙の勝者と敗者のシンプルな対立だ。

 地元関係者は「遠藤市長は観光協会への損失補てんや補助金支出を取りやめた。原前市長の庇護のもと、岡市議と振興協会の山田会長は観光協会という“財布”を自由に使えた。遠藤市長が憎いわけだ」と話す。

 反市長派はネガティブキャンペーンを張った。赤字運営の責任は市長にあると指摘するものだ。「遠藤市長は元局アナとは思えないほど論戦に弱く、PR下手なのは事実。だが、遠藤市政の一朝一夕で赤字が作られたものではない。長年の赤字を累積してきた人たちが、自分の無責任さを政治問題化して遠藤市長になすりつけた」(前出関係者)

 昨夏の総踊り決行もその一つだ。総踊りを中止させようとする市長と、反対して強硬に踊る振興協会。「『権力に立ち向かう弱者』という絵で、マスコミの格好の注目を集めました。メディアの中には、総踊りを阿波おどり全体と勘違いして、阿波おどりをつぶそうとする黒幕として市長が名指しされることも」(同)

 総踊り強行は反市長派にとって一定の“成果”を上げたと言えるが、「一歩間違えれば大きな事故が起きかねなかった」(地元の有力者)という意見もある。

 前出関係者によると「山田氏と岡氏らが、昨秋には市長のリコール(解職請求)を画策したとの噂も。市議会のリコール(解散請求)を主導したことがある河村たかし名古屋市長の関係者に相談を持ちかけたが、『リコールには金・人・大義が必要だが、金はない。人は偏ってる。大義はない』と追い返された」という。

 今年の市議選。そして来年の市長選。様々な思惑が阿波おどりに絡まって渦巻いている。

 昨年の大幅な刷新による阿波おどりの収支は2500万円の赤字だった。今年以降、真価が問われる。「この日のために生きている」と強い思いを持つ踊り子に、真正面から説明できる運営体制が求められる。