兵庫県明石市の泉房穂市長(55)が29日、同市役所で会見を開き、2017年6月に道路拡張工事に伴う立ち退き交渉をめぐり、担当の市幹部に「燃やしてしまえ」などと暴言を浴びせていたことについて謝罪した。

 泉氏は「発言は全て事実。許されないことと深く反省している」と謝罪。辞職を否定した上で「市民の判断を仰ぎたい」と、4月に行われる市長選に3選を目指して出馬する意向を明かした。

 暴言があったのは17年6月14日。12年から進められていたJR明石駅前の国道2号拡幅に伴う用地買収で、雑居ビルの立ち退き交渉が進んでいないとして、呼び出した市幹部に対し「アホちゃうか。火を付けて捕まってこい。燃やしてしまえ」などと発言した。

 28日に当時の録音を確認した泉氏は「いかにひどい発言をしていたか思い知った。早く交渉しろというつもりで、激高した状況だった」と釈明。パワハラと認め、幹部に謝罪したという。

 トンデモ発言が発覚した泉氏について、地元関係者は「結構気が短くて、部下に怒鳴ることはよくあった。でも、離婚した母子家庭が、父親からの養育費をストップされたときに、市が立て替える制度を導入するなど画期的な条例をいくつも打ち出した。『人にやさしいまちづくり』をホームページでうたっているように、真面目に市政に取り組んでいた」と語る。

 実際に市民からは「播州の言葉遣いは汚いから、ああいう発言になったんでしょうけど、悪い評判はないですよ」「あの道は危なかったから早く工事してほしかった」などと擁護の意見も多い。

 仕事熱心なあまり、立ち退き交渉を“7年間も放置”していたという市職員にイラ立ったのだろうが、さすがに「燃やせ」は市長失格だろう。

 前出の関係者によると、今回の件は関係者の間ではかなり前から知れ渡っていた話だといい「このタイミングで明るみに出たのは、4月に行われる市長選を見据えてリークされたのではないか」と指摘している。