韓国国防省は24日、韓国軍艦艇に海上自衛隊の哨戒機が低高度で接近する「威嚇飛行」をしたと主張している問題で、23日に撮影したとする飛行中の哨戒機の画像などを公開した。韓国側主張に沿うレーダーが測定した哨戒機の高度や距離が記された画像も含まれる。国防省関係者は「機械はうそをつかない」と語り、韓国の主張を裏付けると強調したが、専門家は「これのどこが証拠画像なのか? 哀れみを感じるレベル」と切って捨てた。

 画像を見た岩屋毅防衛相は24日、防衛省で記者団に「威嚇飛行をした」との韓国国防省の主張を重ねて否定。韓国側は自らの正当性を国内外の世論に広く訴える狙いとみられるが、対立がさらに深刻化する恐れがある。

 韓国国防省は23日、「哨戒機が艦艇から距離約540メートル、高度約60~70メートルまで接近した」と主張。一方、日本側は「高度150メートル以上」としている。

 さらに韓国国防省は24日、艦艇から23日午後2時ごろにビデオカメラで撮影した映像のキャプチャー画像など5枚を公開。飛行する哨戒機のほか、対空レーダーの情報を撮影した画像には哨戒機の高度200フィート(約60メートル)、距離は約540メートルとの記載があった。

 国防省は当初、動画の公開を検討していたとされるが、同省関係者は「レーダー情報は確実なものだ」として画像だけで十分との認識を示した。

 哨戒機は全長約35メートル。艦艇のアンテナが写り込んでいる画像には海面が写っていないため正確には分からないが、海面の位置を想定すると、画像(本紙掲載写真とは別)によっては哨戒機を縦にして5機分(約175メートル)はありそうに見える。それを「高度約60メートル」と説明するのは理解に苦しむ。科学データに忠実でなければならない国防省が、よくぞ、こんなひどい画像を証拠として公開したものだ。

 韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏はこう語る。

「もはや哀れみを感じるレベルですね。この写真のどこが威嚇飛行の証拠なのでしょうか。言い訳をすればするほど、自分たちがウソつきであることをさらしてしまう。鳥が羽ばたくことをやめれば落ちるしかないのと同じで、今の韓国はウソをつき続けることで辛うじて墜落を免れているかのようです。ウソは韓国にとっての揚力なのです。ウソにウソを重ねて、こちらが根負けする作戦に出ているのかもしれません」

 韓国は儒教国家だ。そして儒教では、君子(くんし)と小人(しょうにん)に人を分ける。君子とはすなわち「徳のある人」だ。

 但馬氏は「この『徳』という言葉、日本と韓国では実は意味が違いますし、韓国のそれは本来の儒教の教えともまた違います。分かりやすくいえば韓流儒教です。『徳のある人』というのは決してウソをつかない人、と思うのは日本人です。しかし韓国人に言わせれば、『徳のある人』だからウソをついていい、という解釈になります」と言う。

 韓国の徳治主義という考え方では、ウソをついてもバレない、もしくは相手をだますことができるという結果が「徳のある人」という考え方なのだ。

 レーダー照射問題で韓国は論点をすり替え、ダダをこね続け、日本側が実務者協議を打ち切った。これで韓国は自分たちが「徳のある人」と確信を持ってしまったわけだ。

「韓国としては、遭難した北朝鮮漁船を救助するという人道的行為(徳の高い)をしているところに、威嚇飛行という野蛮な行為(徳の低い)を仕掛けてきた日本という図式が出来上がっているのです。だから、韓国は日本に対してはどんなウソをついてもいい、ということなのです」

 韓国が非を認めて謝罪をするなどあり得ないということだ。

 但馬氏は「今回の一連の騒動で韓国当局が日本に向けて言い放った『無礼』『非紳士的』という上から目線の言葉もこれでうなずけるかと思います。『徳の低い』日本が『徳の高い』韓国に向かって『証拠を出せ』ということが、『無礼』だと言いたいのです」と指摘している。