東京・港区の防潮扉にネズミの絵が描かれ、ストリートアートの権威で知られる覆面芸術家バンクシーの作品ではないかと騒ぎになっている。都は絵が描かれた板を回収し、本物かどうか調査する。

 見つかったのは新交通システム「ゆりかもめ」の日の出駅前にある防潮扉。カバンを持ったネズミがA4サイズほどの大きさで描かれている。

 扉は都港湾局管理で、都民からの通報を受け、調査を開始。小池百合子都知事は現場を訪れ、ツイッターに「あのバンクシーの作品かもしれないカワイイねずみの絵が都内にありました! 東京への贈り物かも?」と書き込んだ。

 バンクシーは路上芸術家で、世界各地の壁にメッセージ性の強い作品を描いており、ロンドンを中心に活動していることから英国人とみられるが、正体は不明。昨年10月には自身の作品がオークションで約1億5000万円で落札された瞬間、シュレッダーで裁断される仕掛けをしていたことで話題になった。

 もし、バンクシーの作品なら日本初となり、その価値は数千万円は下らないとみられる。一方、バンクシーであってもなくても落書きは落書き。本来は器物損壊罪等に当たる。ロンドンやニューヨークなどストリートアートに理解のある街ならまだしも、日本の観光地や名所では、若者や外国人による落書きが相次ぎ、逮捕者が後を絶たない現状もある。

 都の担当者は「落書きは許されるものではないが、本物だった場合は保全の必要があるうえ、人が殺到するなど騒ぎになる可能性がある」としており、おとがめどころか本物なら資産になる可能性もある。

 報道陣の取材に「かわいいネズミちゃんでした」と喜ぶ小池氏だが、バンクシーの作風は反権力や社会風刺。かつて都政に巣食う権力を「黒い頭のネズミ」と評した小池氏。この落書き自体、10年ぐらい前からあったとみられ、石原→猪瀬→舛添→小池氏へと続く都政の混乱を暗示していたとなれば、小池氏も笑っていられないかも。