本命案が動き出した。東京都は築地市場(東京・中央区)の跡地に、国際会議場や展示場を開く大規模施設を核とした再開発計画の方針を固めた。「食のテーマパーク」構想以降、中ぶらりんとなっていた築地市場跡地は、やはりカジノを核とするエンターテインメントの“聖地”となるのか。

 関係者によると、築地跡地を複数のエリアに分け、1つは国際会議場や展示場を整備。別のエリアでは高級ホテルの誘致、交流施設の整備を検討している。

「国際展示場やホテルを集める街づくり計画は、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)そのもの。カジノを出すと批判が集まるので、段階を踏むのでしょう」(関係者)

 小池百合子都知事はIR推進論者で、知事就任前からIR誘致を否定せず、昨年11月に政府が全国の自治体対象にIR誘致の調査を行った際に東京都は「申請を検討中」と回答していた。築地市場の跡地では、2020年東京五輪時に選手や関係者用の駐車場として使用するため、現在解体工事が進んでいる。

 五輪後の使用について小池氏は当初「築地は守る」と市場機能を持ち合わせた食のテーマパーク化を掲げていたが、トーンダウン。都は築地市場の所管を一般会計に移し、市場と関連性が低い跡地利用も可能にした上で、民間に長期で貸し付けて開発を進める方針に転換していた。

 築地カジノ構想は石原慎太郎都知事時代にもお台場と並んで構想に持ち上がった過去がある。今後はIR反対派の抵抗、都議会での同意、さらには小池氏自身の再選戦略にも絡んでくるとあって、一筋縄ではいかないが、都側は2030年代の完成を予定しているという。