米IT企業「グーグル」の日本法人「グーグル合同会社」が東京国税局の税務調査を受け、2015年12月期に約35億円の申告漏れを指摘され、修正申告したことが15日にわかった。

 グーグルはアップル、フェイスブック、アマゾンとともに「GAFA(ガーファ)」と称される巨大IT企業。日本法人は事実上、日本で広告事業を担いながら、広告料などは税率の低いシンガポールの法人に支払われ、日本法人はそこから経費に8%が上乗せされた金額を報酬として受け取っていた。

 これを国税局はアウトと判断。取引実態から同社の報酬は広告料に連動させるべきだとし、過少申告加算税を含む追徴課税約10億円を課した。

 グーグルは「修正申告は行った。不正行為、租税回避を行ったものではない。引き続き日本国内の法律に沿って納税していく」とコメントした。

 GAFAが急速に巨大化した背景には法の抜け道を探し、節税に節税を重ねたことにある。16年4月に流出したパナマ文書では、世界的な企業がタックスヘイブンを経由し、租税回避していた実態が判明した。

 ITジャーナリスト・井上トシユキ氏は「税の不平等はあってはならない。パナマ文書によってGAFAに対する監視は世界的に強化されている」と話す。

 今回の日本法人に対する追徴課税10億円は、時価総額80兆円以上の同社本体にとっては痛くもかゆくもないだろう。だが、井上氏は「国税庁は既存の法律のどれに当てはまるかと議論を重ねた上で、グーグルに対して動いた。追徴課税の額は小さいが、極めて大きな一歩だと思う」と話す。

 一方、GAFAへの人材流出は今年も続く。ここ数年、国内企業からGAFAへの転職者が続出。ある30代男性は東証1部上場企業からアマゾンに移り「すぐに給料が2倍になってビックリした。福利厚生も充実しており、日本の企業は太刀打ちできない」と話す。

 租税回避対策の一方で、人材流出に歯止めがかからないのが現状だ。