東京地裁は15日、会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(64)の保釈を認めない決定をした。同被告は容疑を否認しており、証拠隠滅の恐れがあると判断したとみられる。フランスなど海外からは長期勾留への批判が強まることは必至。一方で検察・司法当局側が同被告に明かされたくない“屈辱的チェック”もしばらく封印されそうだ。

“本丸”とされる特別背任での追起訴後で、注目された保釈可否は、大方の見方の通り却下となった。

 経団連の中西宏明会長がこの日の定例記者会見で、欧米メディアなどがゴーン被告の勾留長期化を批判していることについて「率直に受け止めるべきだ。(ゴーン被告が)何をしたかは全然別の次元の話だが、日本のやり方が、世界の常識からは拒否されている事実をしっかりと認識しなければならない」と話すなど、財界への影響が出てきているのも事実だ。

 特捜事案で否認を続けた被告の場合、鈴木宗男元衆院議員の437日、森友学園の籠池泰典前理事長の299日など長期勾留の傾向がある。一方、旧証券取引法違反で逮捕されたライブドア元社長の堀江貴文氏は95日。15日で逮捕から58日となったゴーン被告は“ホリエモン超え”となってしまうのか。

 早期保釈されなかったことで“あの話”も先送りになる。

「ゴーン前会長が保釈され、会見でも開いた時に拘置所での待遇に不満を爆発させる可能性は十分ある。特に逮捕後にされる身体検査は屈辱的で、プライドをズタズタに切り裂かれますから、人権侵害だと訴訟ざたにもなりかねない話です」(司法関係者)

 身体検査は、拘置所に入る容疑者をまず全裸にして、体の隅々まで身体的特徴および不審物を所持していないかどうかのチェックが極めて厳重に行われる。

「時には体中の穴に指を入れることもある。口や耳、鼻の穴だけでなく肛門にまで及びます。薬物を詰め込んでいる可能性もありますからね」(同関係者)

 ゴーン被告は薬物事犯ではなくあくまで経済事犯の被疑者。なにもそこまでやる必要はなさそうだが…。とはいえ拘置所側としては、不審物を持ち込まれて万が一、自殺でも図られてしまったら重大な責任問題になる。勾留されるのが“有名人”の場合は、この屈辱的な身体チェックが特に入念に、徹底的に行われるのが慣例だという。

 いずれ保釈されるゴーン被告が恥を忍んで、屈辱の身体検査を訴える時が来るのか。ただでさえ、海外メディアからは長期勾留の“人質司法”に批判が渦巻いているだけに、話題沸騰が確実な材料が投下されることになりそうだ。