元徴用工ら1100人が韓国政府を提訴 総額100億円請求の真の狙い

2018年12月21日 17時00分

 日韓併合時代に動員された韓国人元徴用工や遺族計1103人が20日、韓国政府を相手取り、1人当たり1億ウオン(約1000万円)の補償を求める訴訟を起こした。請求総額は1000億ウオン(約100億円)を超える。元徴用工らを支援する「アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会」が同日、ソウルで記者会見し発表した。

 日韓併合を経て、日韓は1965年の請求権協定を結び、日本が経済協力資金を提供。韓国は資金をインフラ建設に使い経済発展の基礎を築いたが、元徴用工ら個人への補償は十分に行われてこなかった。

 こうした経緯から、団体は被害者への補償責任が韓国政府にあると主張し、昨年以降、3度にわたり、計約280人の元徴用工らが韓国政府を訴えた訴訟を主導し、今回が4回目。団体幹部の崔容相氏は会見で「韓国政府が曖昧な態度で放置するなら、全国の被害者が1万人の訴訟原告団を構成し、政府と争うことになる」などと警告した。

 韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏は「原告たちの請求は当たり前といえば当たり前です。ただ、原告側弁護団の談話をよく読むと、韓国政府がまずは賠償すべきとの立場を取っているものの、日本企業に次々と賠償命令を出している韓国最高裁判決を踏まえ、日本企業からは賠償金をしっかり取れと言っていることが分かります。つまり、日本企業からの取りっぱぐれを心配して、まずは韓国政府から取り立ててやれ、という思いも透けて見えるわけです」と語る。

 今後、原告側が勝訴した場合、日本企業への最高裁判決について、「司法を尊重する」と発言した文在寅大統領がどのような態度に出るのだろうか。

 但馬氏は「反朴槿恵の追い風でタナボタ式に政権を手にした文在寅ですから、『日韓請求権協定を結んだのは朴槿恵の父の朴正熙大統領だ』ということで、朴父娘に責任を負わせる世論づくりをして、国民の情緒に訴えるかもしれません」と指摘する。どちらにせよ話は複雑化していきそうだ。