【札幌・爆発事故】スプレー缶処理「無知」の怖さ

2018年12月19日 07時00分

 札幌市豊平区で16日夜に起きた爆発事故で、発生元の可能性がある不動産仲介「アパマンショップ平岸駅前店」の外で同日昼すぎ、男性2人が複数のスプレー缶を店舗に向かって噴射していたことが18日、周辺住民への取材で分かった。42人が負傷した事故は、同店従業員が100本以上あった消臭剤のスプレー缶のガス抜き作業後、湯沸かし器をつけたことが引き金だとみられる。道警は、放出されて店内に充満した多量のガスに引火し、爆発した可能性があるとみて調べている。それにしてもなぜ、そんな危険なことが行われたのか。

 近くに住む女性によると、16日午後0時15分ごろ、アパマンショップの建物裏側で、従業員とみられる若い男性2人がスプレー缶を両手に持ち、建物に向かって噴射していた。2人の足元の段ボールには、同じような缶が6本ほど入っていたという。

 女性は「白い煙が見え、ミントのような香りがした。目には痛みを感じた。事故と関係あるかもしれないと思い、道警に伝えた」と話した。

 捜査関係者によると、アパマンショップの男性従業員は、店内に100本以上あった消臭剤のスプレー缶のガス抜きをした後、湯沸かし器をつけた際に爆発が起きたとの話をしている。北海道警は、住民の話との関連を調べている。

 爆発は16日午後8時半ごろ、豊平区平岸3条8丁目の「酒井ビル」で発生。1歳から60代の男女計42人が負傷した。酒井ビルにはアパマンショップのほか、居酒屋と整骨院が入居していた。被害は崩壊した現場建物を含む20棟、車両26台などと広範囲に及ぶ。そんな大事故の焼け跡から出てきたのが、大量のスプレー缶「ヘヤッシュ」だ。

 全量噴射型消臭・除菌スプレーで、噴射口を押し込んでロックし、空になるまで噴霧を続けるタイプ。アパマンショップで販売されていた。同ショップを運営する業者によると、取り扱う物件の消臭で使うことがある。店舗は近く改装を予定しており、廃棄処理のためスプレーのガス抜きが行われた。従業員は「スプレー缶に穴を開け、手を洗うために湯沸かし器をつけたら爆発が起きた」と話しているという。「ヘヤッシュ」には可燃性の成分が含まれているとみられる。

 メーカー関係者によると「未使用のスプレー缶1本に引火・爆発すればワンルームは吹っ飛ぶでしょうね」。それが100本以上とは…。しかもガス抜きをした場所で湯沸かし器をつけるとは信じられないが、この関係者によると他のケースでも「キッチンで調理中にゴキブリが出現し、殺虫剤を噴射」「部屋の窓を開けて缶スプレーのガス抜きしながら、暇つぶしにたばこを吸う」など、危険な使用は後を絶たない。

 一般社団法人日本エアゾール協会が提唱する、スプレー缶の正しい廃棄方法は(1)使い切って缶を空にする(2)残っていないかを缶を振って確認する(3)火の気がなく、風通しのよい屋外でガス抜きキャップを使ってガスを抜く(4)ごみに出す――の手順だ。

 同協会は「残念ながら広報が足りないのかもしれません。燃えるもの(ガス)、燃やすもの(点火源)、酸素があれば必ず燃えます。事故が起きていないのはたまたまです。スプレー缶を空にすることができないときは、商品に記載されているお客様相談室や販売元にお尋ねください」と注意を促す。

 ちなみに、札幌市によると「中身を使い切れないスプレー缶類は、各清掃事務所、消防署(出張所)、地区リサイクルセンターでスプレー缶・カセットボンベの引き取りをしていますので、お持ちください」という。

 従来は使い切ってから穴を開けることが推奨されていたが、環境省は2015年には「穴開けをしないのが望ましい」と全国の自治体に通知。安全に作業ができる「ガス抜きキャップ」なども開発されている。穴を開けない対応を取る自治体は増えているが、地域差があるようだ。今回の事故は“無知”が招いた大惨事なのか。