ソフトバンクの大規模通信障害を巡って、トラブル発生前の6日午前に同社の親会社「ソフトバンクグループ」の株価が大きく下落していた。5日にカナダ司法省が米当局の要請を受け、中国の通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)の創業者の娘、孟晩舟副会長をイランに製品を違法に輸出した疑いで逮捕したからだ。

 ファーウェイについては、通信機器を経由して情報を盗み取り、中国当局に流している疑いがあり、同じく中国通信大手の中興通訊(ZTE)らとともに米政府は政府機関での製品使用を禁じている。

 IT関係者は「今回の逮捕は米中貿易戦争で米側が優位に立つためのカードとみられるが、日本でもソフトバンクがファーウェイと基地局建設や次世代無線通信規格5Gで協力する関係にあり、売りが出た」と話す。

 午後には通信障害の発生が追い打ちをかけ、株価は一時、約6%下落。結局、前日比4・93%安の9120円となった。この間、通信障害はファーウェイ機器の不具合やソフトバンクにサイバー攻撃が仕掛けられたとの観測も出た。だが、ソフトバンクによると、原因はスウェーデン通信機器大手エリクソンのソフトウエアの異常で、旧バージョンに戻したところ復旧したという。

 一夜明けた7日も、ソフトバンクグループ株は下がり、午前9時半前には前日比68円安(0・75%下落)の9052円をつけた。ソフトバンクは19日予定のIPO(新規上場)を控えている。利回り5%をうたい、国内では過去最高の2兆円超えの資金調達になる見込みだが、今回の通信障害で自ら門出に水を差してしまい、上場後の株価にも影響しかねない。