タイで被害続出「ジェットスキー詐欺」温厚な現地人の顔が豹変

2018年11月29日 17時00分

タイのビーチでよく見掛けるレンタル業者の看板

【アツいアジアから旬ネタ直送 亜細亜スポーツ】タイは今、雨が少なくさほど暑くない乾期。一年で最も気候の良いシーズンだ。特にビーチリゾートはこの時期、海の透明度が増し、荒れることも少ない。マリンスポーツには格好の季節だが、一方でトラブルも多発している。よく日本人が巻き込まれているのは“ジェットスキー詐欺”だ。

 首都バンコクの日系旅行会社社員が警告する。

「有名リゾートのパタヤやプーケットのビーチにはバナナボートやパラセーリング、ジェットスキーで遊ばないかと持ち掛けてくる客引きがいるが、中には悪質業者も交じってる。ジェットスキーを借りて遊び、返却するとき『船体に傷が付いてる。罰金を払え』などと因縁を付けられるんだ。通常レンタル料は20分で1000~1500バーツ(約3400~5100円)だが、修理費と称して数万バーツ請求された例も聞く」

 またジェットスキーが故障するようあらかじめ細工され、沖合に出ると止まってしまうケースもあるという。やむなく泳いでビーチに戻ると、時間超過で追加料金を取られるというパターン。「プーケットでは、ジェットスキーの業者が地元マフィアとつながってるという噂がある。貸し出すときはいかにも陽気で優しいタイ人の顔だが、金を取り立てるときは豹変。何されるか分からない怖さがある。その迫力に押されてしまいがちな日本人が格好の標的になってる」と同社員。

 対策としては、借りるとき船体をスマホカメラでくまなく撮っておくこと。そして傷があれば重点的に撮影し、その場で業者に確認してもいい。返却時、自分が付けた傷ではない証明になる。また大抵、借りる際に英語で書かれた契約書を交わすが、これにもしっかり目を通すべき。故障や傷を付けたときの修理費が異常に高い業者は要注意だ。トラブルは観光客が減り、人目につきにくくなる夕方起きている傾向があり、この時間帯に借りるのは避けたほうが無難だ。

 最もトラブルが多いのはプーケットのパトンビーチといわれている。日本人旅行者には人気だが、マリンスポーツをするなら他の地元ビーチへ行ったほうがいい。

「バナナボートも要注意。ジェットスキーに引っ張られたボートに乗り、海面を猛スピードで飛ばすのは爽快だが、はるか沖合で止まり『ビーチに戻りたかったら金を出せ』といきなり脅してくる業者がいる。これは日本人の女性客がよく狙われている」(前同)

 あまりにトラブルが頻発しているため、日本の外務省も海外安全情報ホームページで注意喚起している。実際モメてしまい、らちが明かなければツーリストポリスに連絡すること。警察はマフィアと癒着している可能性があり当てにならないが、外国人旅行者を保護する立場のツーリストポリスなら安心して相談できる。(室橋裕和)

☆むろはし・ひろかず 1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め、2014年に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。最新著書は「おとなの青春旅行」(講談社現代新書)。