1等・前後賞合わせて10億円が当たる年末ジャンボ宝くじが、21日に発売された。購入者が夢をふくらませる中、徳島県北東部北島町という小さな町にある宝くじ売り場「北島イオンタウンチャンスセンター」では、2013年以降、宝くじなどの高額当せん者が続出し、地元でちょっとした騒ぎになっているという。一体どういうことなのか? 取材を進めると、ある理由が浮かび上がってきた。

 北島町の宝くじ売り場は16年に完成した「源九郎狸の祠(ほこら)」のすぐ近くにある。13年6月、祠の再建が決定した時期から、宝くじなどの高額当せん者が出始めたのだ。

 この土地には、地元のタヌキが、ある僧との出会いをきっかけに修行を行っていたという伝説がある。

 平安時代末期、平家討伐のため平家の本陣を構える屋島へ向かう途中の源義経が突然現れ、このタヌキに道案内を申しつけた。道案内での功労から“源九郎”という名前をもらったという話も語り継がれてきた。

 この場所にはもともと多くのタヌキが住んでおり、1935年に合成繊維メーカー、旧東邦レーヨンが北島工場を建設するため開拓を進めていくと、タヌキがよく出没し、事故が頻発していた。源九郎のすみかを奪ったということで、地魂のための祠が建設された。

 だが、2001年、北島工場の閉鎖に伴い、祠は取り壊された。源九郎の御霊は、宮司が保管していたそうだ。

 そして13年、この工場跡地に大鵬薬品工業の北島工場が建設され、北島町商工会が2月に源九郎狸に関する事業を開始。祠の再建が開始された。

 すると再建計画の決定から程なくして、当時の祠の建設予定地から道路を挟んで向かい側の約300メートルの距離にある宝くじ売り場で、同年12月に年末ジャンボ1等7億円(前後賞含む)の当せん者が出た。

 その2年半後の16年8月には、同じ売り場でサマージャンボの7億円(同)の当せん者が出た。それ以外に14年8月にはサマージャンボミニ6000万円、14年9月にはロト7の1等4億3400万円の高額当せん者が同じ売り場で続出している。さらに100万円単位の当せんは多数だという。

 北島町商工会会長の板東理人氏は「高額当せんは、だいたい2年半の周期で当たるので、今年の年末ジャンボで1等が出る可能性は十分にあると考えられる」と話した。

 なんと、今年10月には、この宝くじ売り場から四国に1本しかないというロト7の1等10億円を当てた者が出た。

 板東氏は「源九郎狸の言い伝えは、現代の地元の子供たちにはあまり知られておらず、忘れられそうになっていた。これを機に、さまざまな形で地域活性化につなげられたら」と語った。

 徳島県出身のオカルト評論家の山口敏太郎氏は4年前、北島町で講演し、クリプトツーリズム(妖怪や伝説、UFO、UMAによるまちおこし)をすべしと提唱した。

「僕が北島町でまちおこしにタヌキを使おうと提案したのがズバリ的中した。やっぱりタヌキは御利益がある。タヌキの大金玉と言って、金運にはタヌキにお参りするのが効果的だ。大きな金玉にあやかって大金を手にしたい。またタヌキには他を抜くという意味もあり、出世にも効果がある」 また、この売り場で宝くじを買うときは「源九郎狸の祠にお参りしてから向かい側の宝くじ売り場で購入すれば、大金が手に入るかもしれない。僕も地元の身内に連絡して年末ジャンボを買ってもらおうと思う」と山口氏は話している。