貧困や極悪な治安環境から逃れるため、中米ホンジュラスから徒歩で脱出し、5000人に膨れ上がった移民集団が米国を目指して北上を続けている。一部はすでに隣国グアテマラを抜けて21日にはメキシコに入国。トランプ米大統領はメキシコとの国境に軍を配備し、不法入国を全力で阻止すると宣言した。

 米紙USAトゥデーなどによると、移民の集団はグアテマラとその北にあるメキシコの間を流れるスチアテ川に到着。メキシコ当局は国境に架かる橋で移民らの不法入国を止めようとしたが、多くは泳いだり、いかだを作って川を渡って不法入国したという。

 米紙ロサンゼルス・タイムズによると、この3日間でメキシコ当局に難民申請したのは7233人に上り、入国した約2000人が国境付近の村にある施設に一時収容された。

 ロイター通信はメキシコの行政担当者の話として「道路は移民で埋め尽くされて歩くことさえできない状態。ただ、移民らは平和的で、それだけが救いだ」と伝えた。そんななかトランプ大統領は21日、北上中の移民らに対してツイッターで「米国入国のためにはメキシコで難民申請しなければならない。それ以外は追い返す」と警告した。

 また、19日にメキシコを訪れたポンペオ米国務長官は同国のペニャニエト大統領、ビデガライ外相らと会談。その後の記者会見で、移民集団の接近は「新たな危機だ」と述べ、米国にたどり着く前に阻止してほしいとメキシコ側に強く求めた。

 ビデガライ外相は「人道主義に基づいて対応する」として、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に支援を求める考えを示した。

 ホンジュラスでは貧困に加え、麻薬や人身売買にかかわる巨大な犯罪組織による被害が一般市民にも及び、職と安全を求めて母国を離れる国民が急増。約100人ほどが先週、約2000キロ先の米国へ向け歩いてホンジュラスを脱出したが、集団は5000人に膨れ上がった。