閉鎖・築地“突入”の大騒乱 豊洲移転反対派と都側の衝突に公安、外国人観光客も

2018年10月19日 17時00分

青果棟前で都職員と押し問答となったツアー一行だが、強行突破した

 豊洲市場(東京都江東区)の開場に伴い、完全閉場した築地市場(中央区)で18日、移転反対派の業者及び買い物客が場内に“強行突破”で入り、「築地市場の存続」を猛アピールした。一時は救急車が出動。都の職員のみならず公安警察官、外国人観光客も見守った大騒動の一部始終をルポ――。

「築地市場は閉場しておりますので、速やかにお帰りください。お買い物は豊洲にお出かけください。不法侵入した場合は警察に通報します」

 午前10時30分、築地市場の正門前はバリケードが敷かれ、中から都職員が警告を発する物々しい雰囲気に包まれた。築地は10日に閉場し、17日午後8時までは市場関係者に後片付けや整理のための出入りが許されていたが、この日からは完全閉鎖となっていた。

 11日に始まった解体工事が本格化するとあって「管理者及び工事関係者以外 立入禁止。許可なく立ち入った場合は、警察に通報します」との警告が各所に張られた中、反対の声を上げたのは市場移転反対と築地市場での営業権の存続を訴える「築地市場営業権組合」やその他有志団体だ。

 10日の閉場後も仲卸業者8社が持ち回りで営業を続け、一般客を対象に「お買い物ツアー」を決行していた。この日も組まれたツアーに仲卸業者や茶屋経営者のほかに参加した支援者や買い物客ら約50人は正門前で立ち往生を余儀なくされたかに見えた。だが、一行は青果門前に移動。こちらの門も封鎖されていたが、30年以上にわたって毎日、市場に通ってきた業者らが、“抜け道”を知らないハズがない。

 すぐ横にある、環状2号線開通のために仮設で作られた工事関係者用のプレハブ出入り口から、あっさりと“第1関門”を突破し、敷地内へと入った。入場時は列ができたため、閉場を知らずに訪れていた数人の外国人観光客も一行に紛れ込んでしまった。

 工事関係者用の敷地内では工事業者と押し問答となったが、「営業する権利がある」「買い物に来ただけだ!」と主張する一行は“第2関門”も突破し、ついに場内に足を踏み入れた。

 都側も青果棟前で、都職員及び警備員の十数人が“人間の鎖”でスクラムを組み、一行の行く手を阻んだ。再び30分にわたり、もみ合いとなったが、ツアー客数人が青果棟の横からスルリと侵入するや、雪崩を打って青果棟内に侵入。“最終関門”もあっさりと陥落した。

 取り壊しを待つだけの場内は、既に廃虚と化していた。小池百合子都知事は「18日からは電気、水もストップする」と警告していたが、まだ通電しており、仲卸業者2社は「銀鮭かま西京」を2パック600円で販売。用意していた約15箱分(1箱10パック)はわずか10分で完売し、ツアー客も「原価で買えた」とホクホク顔だ。

 仲卸業者の男性は「見ての通り、築地は生きている。今は築地の改装期間だと思っていただきたい」と今後も営業権を主張し、場内での販売を続ける意向を示すと、一行は拍手喝采。結局、約2時間にわたって場内を練り歩いた後、入場時と同じ工事関係者の出入り口から退場を始めた。

 すると場内から119番通報があり、消防車と救急車が駆けつけ、騒然となった。ツアー一行の高齢男性が腰痛を訴え、青果門の内側で「動けなくなった」と助けを求めたのだ。これには都側もやむを得ないと青果門の鎖のカギを外し、扉を開けたが、男性は立ち上がるや「この門から出られるなら救急車を呼ぶ必要はなかった。恥をかいたじゃないか」とクレーム。理不尽な主張に都職員もあきれた表情を浮かべるしかなかった。

 都側はこの日、強行措置をとることはなく、公安警察官もカメラを片手に一行を見守っただけだった。

 小池氏は「敷地中での営業は法的に問題がある。警察とも連携しながらしっかりと対応していかないといけない」と話し、今後は一行の“強制排除”もチラつかせたが、一歩も引く構えのない反対派とのつばぜり合いは、激化必至だ。